モスクワ国立鉄鋼合金大学=
アルチョーム・ゲオダキャン撮影/タス通信ロシア国立研究工科大学「モスクワ国立鉄鋼合金大学」の研究チームが、骨組織の構造を模倣するインプラントを開発した。これはケガや癌で欠損している、肩甲骨、頭蓋骨、寛骨といった扁平骨の骨組織の代替となる。
現在、医学界で積極的に活用されている、生体適合性材料の超高分子量ポリエチレン製からできている。この新しい開発品の特徴は、内部の多孔層と、外部のち密層の2層構造になっているところ。内部層は軽く、多孔構造により血管と組織が育つため、患者の身体に適応するのが早い。外部層は非常に強固で、外からの影響に耐久性がある。
超高分子量ポリエチレンには可塑性があるため、外科医は手術中に骨インプラントを切ったり揃えたりすることができる。「例えば、骨組織の損傷が複雑な場合に、これが必要になる可能性がある。インプラントに合わせて骨を切るのではなく、インプラント自体を切れば、骨を最大限に温存できる」とセナトフ博士。
外部層には抗生物質が導入されるため、手術後の感染症の発症を予防できる。内部層には患者の骨髄細胞が接種されるため、細胞の生育を刺激する。
「この開発の革新的な特徴により、手術後の化膿性敗血症の合併症を大きく減らすことができる。したがって、リハビリテーション期間中の患者の治療費を大幅に減らすことができる」と、開発者の一人、ミハイル・キセリョフスキー医学博士は話す。
この開発はすでに、いくつもの前臨床試験を順調に通過しており、特に、実験用のマウスとラットの骨の欠損部をうまく代替した。
臨床試験通過後、「国家医療製剤工場」はインプラントの試験ロットの生産を開始する予定。これは獣医院に無料で提供される。
また、研究者はロシアの複数の特許を出願しており、海外でも出願する予定。最初に、需要の高いロシア市場にインプラントを投入する。ロシアでは、扁平骨の欠損の代替手術が年間6万件ほど実施されている。
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