モスクワのトルコ大使館の傍らで、トルコ空軍によるロシアのスホイ24撃墜に抗議する人=
ロシア通信/ラミル・シトディコフロシアとシリアの特殊部隊は、11月24日にトルコ空軍により撃墜された戦闘爆撃機スホイ24の爆撃手を発見し、シリアにあるロシア軍のフメイミム空軍基地に避難させた。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相が伝えた。同国防相によればこの作業には約12時間かかった。「作戦は成功裏に完了した。爆撃手は、ロシア軍基地に運ばれ、健在だ。わが軍のすべての将兵に感謝したい。彼らは、夜を徹して、非常な危険を冒しつつ、モスクワ時間の午前3時40分にこの作業を完遂した」。国防相はこう語った。
これに先立って、パイロットの一人が救出されたことを、アレクサンドル・オルロフ駐フランス大使が伝えていた。フランスのラジオ局「ヨーロッパ1」 のインタビューで、大使はまたこう述べていた。もう一人のパイロット(機長)、オレグ・ペシコフ中佐は、「パラシュートで降下中に負傷し、地上でイスラム過激主義者らに残虐に殺された…」
プーチン大統領が伝えたところによると、このパイロットは死後に、ロシア最高の褒賞の一つである「ロシア連邦英雄」の称号を授与された。
11月25日に明らかになったところでは、スホイ24撃墜を受けて、トルコのウミタ・ヤルドィム駐ロシア大使がロシア外務省に呼ばれ、断固たる抗議を受けた。
またこの戦闘爆撃機撃墜事件をめぐり、25日、クレムリンと政府は再度発言。プーチン大統領は、露外務省がロシア国民がトルコへの渡航を控えるよう勧告したことについて、この措置を支持し、これがトルコ政府の行為によるものだとした。
プーチン大統領によると、トルコ政府は「はっきりした目的意識をもって、自国のイスラム化を推し進める国内政策」をとっている。つまり、イスラム過激主義者を支持していると、大統領は強調した。また、ロシアの軍用機に起きたことから見て、「ロシアは、さらに何らかの事件が起きる可能性を排除できない。もしそうした事件が起きた場合は、我々も何らかの対応をとらねばならないだろう。また、当然だが、トルコに滞在しているロシア人は、大きな危険にさらされかねない」。こうプーチン大統領は述べた。
撃墜事件に関しては、ロシアのメドベージェフ首相も見解を示し、トルコの行為は無分別で犯罪的であり、一連の結果を招くだろうと述べた。
首相の意見では、トルコの行為は、「ロシアとNATO(北大西洋条約機構)との間に危険な緊張をもたらす。それは国境の保全を含む、いかなる利益によっても正当化され得ない」。そして、トルコの行動は、「トルコ政府が、イスラム国(IS)の過激主義者を支持していることを証拠立てており、「長年にわたる露土両国の、経済、文化面を含む友好関係」を損なった、とメドベージェフ首相は言った(イスラム国はロシアでは過激主義の団体として禁止されている――編集部注)。また首相によると、ロシアは今や、「一連の重要な共同プロジェクト」を停止する可能性があり、トルコ企業はロシア市場での立場を失いかねないという。
軍事的対応
ロシア政府当局は、トルコの行為に対し、いかなる軍事的対応をとるか発表している。ロシアは、シリアにあるロシア軍のフメイミム空軍基地に、最新の移動式地対空ミサイル「S-400」を配備すると、ショイグ国防相は伝えた。また国防相は、ミサイル巡洋艦「モスクワ」が新たな戦術的位置に停泊したと語った。同艦は、移動式地対空ミサイルS-300と類似のS-300F「フォールト」を装備しており、シリア北西部ラタキア沖にあって、「ロシア空軍にとって潜在的に危険であるすべての空中の目標物を破壊する用意がある」
このほか、ショイグ国防相によれば、今後のロシア空軍のシリア領内での爆撃はすべて、戦闘機の掩護のもとでのみ行う。国防相の発表したこの措置は、先に参謀本部が伝えていた「厳しい決定」にほかならない。これは、国防相が、ロシアの戦闘爆撃機撃墜を受けて決めたもの。国防相は、トルコとの軍事交流は停止されると再度述べた。
また11月24日に行われた救出作戦中にロシア海軍歩兵が一人死亡したことも明らかになった。国防相のスポークスマンによると、捜索・救出作戦を行っていたヘリコプター「ミル8」が銃撃されて損傷を被り、緊急着陸を余儀なくされた。その後、ヘリは過激主義者らによって破壊されたという。救出作戦の参加者は、ロシア空軍基地に無事退避することができたが、作戦の最中に、海軍歩兵が一人死亡した。マスコミ報道によれば、ヘリはアメリカ製の対戦車ミサイルBGM-71(TOW)で破壊されたという。
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