ロシア連邦航空輸送庁(ロスアヴィアツィヤ)のオレグ・ストルチェヴォイ次官は、オランダの報告のプレゼンテーションの翌日、報告で示されている結論は「根本的に正しくなく」それらの「非論理性のレベルは針を振り切っている」と声明した。同氏によれば、報告のデータは、今もロシアでその改良型が生産されている地対空ミサイルシステム「ブク」によってマレーシア航空機が撃墜されたことの確定的な証拠とはなりえない。
ストルチェヴォイ氏は、10月13日にオランダの安全保障会議の長官が行った報告を作成した国際委員会は、MH17が「ブク」によって撃墜されたことの写真による証拠しかロシアに示さなかった、と述べ、その際、委員会によって示された写真の一枚には、爆破されたならば原形を留めることはありえない「ブク」のミサイルの一部が写っていた、という点を強調した。さらに、同氏は、ミサイルの断片が発見されたことはロシアに報告されなかった、とし、「われわれは、さらなる会合は行われず指摘は受けつけられないと述べられた8月の最近の会合の際に、初めてそのことを知った」と語った。
一方、同氏は、委員会は「ブク」の改良型ミサイルに特徴的な破壊エレメントが機体内で発見されたことの証拠を示さなかった、とし、「蝶型のエレメントの形状および化学成分は、報告で示されたものと何の共通点も有していない。必要なのは、これらのエレメントの発見に関する裏づけ情報が公表されることである」と述べた。
「ブク」のメーカーである対空防衛装備コンツェルン「アルマズ・アンテイ」の専門家らによれば、飛行機が改良型ミサイルによって撃墜されたとすれば、墜落現場には蝶の輪郭を彷彿させる「H字形」の破壊エレメントが発見されなくてはならない。そうした可能性については、オランダの安全保障会議の報告で述べられている。同コンツェルンは、ボーイング機が「ブク」によって撃墜されたとすれば、それは、改良型ミサイルによるものではなく、ロシアではすでに4年前から配備されておらず今はウクライナ軍に配備されている旧式のミサイルによるものである、としている。
しかし、ストルチェヴォイ氏によれば、ロシアに示されたのは、そうした形状の破壊エレメントがたった一つのみであり、委員会の専門家らが主張しているようにそのエレメントが操縦室で発見されたことを裏づける何らかの証拠も、示されていない。
ストルチェヴォイ氏によれば、オランダ側は、ボーイング機墜落の調査に関する報告案に対するロシアの指摘をほとんど考慮せず、委員会は、地対空ミサイルシステム「ブク」の特性を把握すべくロシアを訪れるようにとの委員会のメンバーらに対する招待を無視した。
同氏によれば、国際委員会は、ロシアが提供した発射場所に関するデータを自らの活動において利用せず、そのため、親露派の支配下にあるスネジノエという市がその報告に現れたが、コンツェルン「アルマズ・アンテイ」の算定によれば、発射は、ウクライナ軍がいるザロシチェンスコエという町から行われた。
全体として、惨事の調査に関しては、なおも一連の未解明で矛盾する点が残っている。例えば、専門家らは、オランダの報告のプレゼンテーションの際に示されたボーイング機への地対空ミサイルの飛行のシミュレーション映像では、ミサイルは対面方向に飛行している、という点を指摘しており、アナリストらは、ミサイルはそのようにしてスネジノエの方向から飛んできた、としている。しかし、実地のテストで証明された「アルマズ・アンテイ」のデータによれば、そうした場合には、飛行機の破損場所は、左の翼および操縦室の左の部分ではなく、操縦室全体および右の翼であったはずである。
また、なぜ、ミサイルの破片がこれほど少なく、「H字形」という特徴的な形状をもつ破片がたった一つなのかも、分からない。「ブク」の改良型ミサイルによって破壊されたならば、そうした破片はもっとずっと多いはずである。
また、ウクライナの専門家らが主張するように、破壊エレメントがそうした形状を帯びた弾頭は、改良型ミサイルにばかりでなく従来型ミサイルにも使用できるのか、という点も、不明のままである。かれらは、それを根拠にミサイルの型に関する「アルマズ・アンテイ」の専門家らの結論を疑問に付そうとしているけれども。
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