国連を改革する必要性については、プーチン氏が言及したヤルタ会談で考えつかれたもの以上のものは考えつかれていない。プーチン氏によれば、ヤルタ体制は「両世界大戦によってあがなわれたものであり」「大規模な震撼から世界を守ってきた」。
国連改革では最近、5大国から拒否権を奪うべきだという声が聞かれはじめた。ウクライナ危機という文脈からロシアの拒否権の剝奪を念頭に置いている。
拒否権廃止が国連の活動能力にどのような影響を及ぼすかは不明である。拒否権の脅威そのものが、妥協点の模索を大国に促すものでもあるのだから。
プーチン演説には「他国での社会主義的な実験をあおろうとした」ことに対するソ連非難が含まれていた。ソ連崩壊を「20世紀最大の地政学的破局」と呼んだ同氏が口にするなじみのない命題の背景はほどなく明らかとなった。今日の「革命の輸出」をそうした「あおろうとする試み」と同一視しているのだ。
国連文書を含む現代の国際法は、外部から支援される革命的変革の結果として国全体が廃虚に埋もれ機能不全に陥るという状況に対して無力であることが判明した。リビアの「民主化」がそれであり、今シリアは破局の瀬戸際に立たされている。
「この状況を作り出した者たちに伺いたい。あなたたちは自分が何をしでかしたかお分かりですか、と」。
プーチン氏は「ウクライナ」については、ミンスク合意履行の必要性があるとの立場を繰り返すにとどめ、「ブロック思考」(NATOの拡大に見られる)や一極支配の試みを非難した。
オバマ氏が対露制裁は今後も有効であると述べたのに対してはこう反論した。
「国連を回避した一方的な制裁は政治目的を追求するものであるだけでなく、経済的ライバルの排除を可能ならしめるものでもある」「ゲームの規則が一握りの国を考慮したものに書き換えられたという事実の前に私たちを立たせたいのだろうが、これは世界経済の完全なる不均衡化の可能性をはらんでいる」
プーチン氏はグローバルな文脈にアクセントを配した。具体的には、主権国家への不干渉および合法的政府の支持、経済ブロック思考の克服、共通の脅威との共闘(気候変動であれテロリズムであれ)、そして、国連の基本文書に明記された「グッドウィル(善意)」にのっとることである。
ゲオルギー・ボフト、外交・防衛政策会議委員
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