チャイナ・デイリーによれば、中国は2017年元日、東部の浙江省義烏(イーウー)市と英ロンドンを結ぶ直通列車の運行を開始させた。カザフスタン、ヨーロッパ・ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、ベルギー、フランスを通り、英仏海峡トンネルを抜けてロンドンに到る。18日間、1万2000㎞の旅だ。これは世界最長の鉄道輸送路となる。
家庭用日用品、衣料、雑貨などの消費財を載せた列車が週に一便、ロンドンへと通う。事業主体はYiwu Timex Industrial Investment Co。調査機関InfraNewsのロジスティクスの専門家アレクセイ・ベズボロドフ氏によれば、このルートの開通には宣伝の面がある。なぜなら、衣類は、少量を素早く調達しなければならないような商品ではないからだという。
「輸送にスピードが必要なのは、機械設備一式、高価なプラント、コンピュータなどだ」「このケースは、商品の供給者と買い手に、新たな輸送路を教えようという試み。要するに、このプロジェクトを立ち上げた企業は、イーウー市―ロンドン間のルートが存在し、稼働しており、従って利用しなければならない、ということを示したがっているわけだ」
ベズボロドフ氏が指摘したところでは、今日、中国の欧州との貨物取引の3%あまりがロシアとカザフスタンを通過しており、輸送量は増加を続けている。また、ロシア鉄道の調べでは、ロシア経由の貨物輸送量は2016年を通じて36%増大し、20万5000TEU(貨物容量の単位。1TEU=20 フィートコンテナ1個分)となった。ベズボロドフ氏によると、ルーブル安でロシア経由の鉄道輸送が割安になり、需要が増大しているという。
現時点で中国から欧州への主たる輸送手段は、海路である。
投資機関Finamのアナリスト、アレクセイ・カラチェフ氏によれば、「鉄道輸送はある指標において海上輸送に優越している。それは配送にかかる時間だ。このケースでは、少なくとも半分に短縮される。海路だと30-45日もかかる可能性がある」。ただし、輸送量に関しては、海路は比類なき強みをもつ。列車だと最大でも一日200TEUというところ、海路によるコンテナ輸送なら2万TEUだ、とカラチェフ氏。
価格の点でも鉄道輸送は分が悪い。「義烏―ロンドンというルートでのコンテナ輸送はおよそ1500~1700ドル(17~19万円)と見られるが、海路ならおおよそこの半額で済む」とカラチェフ氏。しかし「そのうちの幾分かでもロシアの鉄道に向け換えられれば、ロシア経済にはプラスとなる」、と高等経済学院輸送経済・輸送政策研究所長のミハイル・ブリンキン氏。
こうした海路の優位性にも関わらず、中国当局は欧州への鉄道輸送を増大させる意向である。それはなぜか。
「中国は対外貿易の輸送路確保に対するアプローチを多様化させることに関心を持っている。ゆえに、彼らは故意に大陸を横断する鉄路の利用を奨励しているのだ」とはロシア科学アカデミーアジア太平洋研究センター研究員イワン・ズエンコ氏の弁。
たとえば中国当局は鉄道輸送増大のため、2015年にロシアを迂回して欧州に到る鉄道ルートを始動させた。カザフスタン、アゼルバイジャン、グルジア、トルコを通過する貨物輸送路だ。RBKによれば、2020年までにこのルートでトルコおよび欧州に30~40万個のコンテナが届けられるようになる可能性がある。
「選択可能な配送ルートが多様になることそれ自体が中国にとって価値があるのだ。ルートにあたる特定地域に対する依存が低減されるためだ」。アレクセイ・カラチェフ氏は中国当局の戦略をこのように説明する。
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