ドミトリー・メドベージェフ首相=
ロイター通信原油価格の下落、経済制裁、構造的な問題により、ロシア経済は深刻な危機に直面した。経済危機の主な影響、また主な原因を、「ロシスカヤ・ガゼタ(ロシア新聞)」の施政綱領論文の中で、メドベージェフ首相が示した。
ロシアでは経済システムの抜本的な刷新が起こっているという。ロシアNOWがポイントをまとめた。
2008年から続く世界的な経済危機は、世界市場の不安定さの増幅へとつながった。膨大な額の資金が瞬時に世界中に流れるような、グローバルな金融市場が形成されたが、正常なグローバルな規制システムが形成されなかった。政治的要因は、時に市場の競争に代わりながら、どんどん経済政策に入り込んでいっている。経済制裁はこの傾向の最も顕著な現象にすぎない。
2014年末、ロシアで大惨事が起こりそうになった。政府が為替レートを固定したり、予算の歳出を増やしたり、価格を固定化していたら、起こっていた可能性がある。だが政府は代わりに、ショックに対応する体系的な作業を行った。結果は大方の予想よりも良いものだった。
石油、ガスに関連していない歳入の割合はほぼ60%に達した。インフレ抑制策により、外貨準備を維持し、金融システムの安定性を確保することができた。インフレ率は着実に減少し、今年度は6%以下になる。
2015年、ロシアからの資本流出は2014年の1530億ドル(約15兆3000億円)の40%弱となる、581億ドル(約5兆8100億円)にとどまった。
2016年上半期は105億ドル(約1兆500億円)。2015年の上半期は515億ドルだった(約5兆1500億円)。
ロシアの総対外債務は、2014年半ばの733億ドル(約7兆3300億円)で天井を打ち、2016年半ばには516億ドル(約5兆1600億円)まで減少した。
ルーブル安は国内の製造業の成長に弾みを与えた。2015年の成長率は食品産業で2%、化学産業で6.3%、石油製品産業で0.3%だった。医薬品の生産量は26%増えた。安定的に右肩上がりを示しているのは農業で、2015年に3%、2016年の最初の7ヶ月間で3.2%成長した。
最大の効果が見られたのは自動車製造業。2015年に外国企業と合弁企業を創設したことにより、輸入の割合は22.5%減った。輸入の割合は製鉄業で4.5%、繊維・衣料品で7.8%、食品で4.1%減った。
安定化措置は今のところ、経済危機の主要な現象を補ってはいない。それは国民の富の減少である。実質可処分所得が減少し、実質賃金が減少した。ロシア企業の口座には、21兆ルーブル(約31兆5000億円)ある。
安定的な成長へと移行するには、投資規模を現在のGDPの20%から22~24%まで大きく拡大させなければならない。貯金を促すだけでなく、それが投資に変わるような対策を作成することが必要。問題は金利ではなく、不確実性の高さである。
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