モスクワ国際ビジネスセンター=
ミハイル・ポチュエフ撮影/タス通信外国人投資家のロシア国債への需要は、ここ一ヶ月で4倍になった。投じられた額は3月に50億ルーブル(約85億円)だったが、6月は200億ルーブル(約3400億円)になった。ロシアの経済紙「RBCデイリー」が、「ロシア中央銀行」のデータにもとづいて、これを伝えている。
需要増の理由の一つは、イギリスのEU離脱への懸念だという。イギリスの国民投票で離脱に決着し、リスクが高まったことで、ロシア国債に投じられるようになった。同様の状況は、ロシアの金融市場の他の部門でも見られる。アナリストによると、ロシアの社債にはヨーロッパ有数の収益性があり、外国人投資家をひきつけているのだという。
「現在、多くのポートフォリオ・マネージャが、ロシアへの愛を語っている」と、ロシアのコンサルティング会社「IFCファイナンシャル・センター」のスタニスラフ・ヴェルネル副社長は話す。先進国の市場では、マイナス収益の債券の規模が12兆ドル(約1260兆円)になっているという。「ロシアは資産が過小評価されている、ほぼ唯一の国となり続けている」とヴェルネル副社長。
イギリス系監査法人「プライスウォーターハウスクーパース(PwC)」の4月のデータによると、ロシアの投資会社「ルネッサンス・キャピタル」は2億ドル(約210億円)のユーロ債を年率9.5%で発行した。「ルースキー・スタンダルト」銀行は昨年10月、年率13%で4億5100万ドル(約473億6000万円)の債券を発行している。「プロムスヴャジバンク」は2014年9月、年率12.5%で発行している。
「外貨債券すなわちユーロ債については、選択肢がロシアの債券以外にほとんどない。信頼性が現実的にかなり高く、収益性がヨーロッパの国債や社債よりも1.5~2倍高い」と、ロシアの証券会社「オトクルィチエ・ブロケル」のアナリスト、アンドレイ・コチェトコフ氏は話す。その結果、PwCのデータによると、2016年の最初の5ヶ月半で、ロシアの企業はユーロ債経由で総額49億ドル(約5145億円)を集めた。これは2015年1年分に相当する。
このような状況で今年5月末、ロシア連邦財務省が国の新たなユーロ債を発行することを決めた。これは2014年に対ロシア経済制裁が発動されて以来の外国の債券市場への参入となる。発行額は17億5000万ドル(約1837億5000万円)で、需要は70億ドル(約7350億円)を超えた。
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