ロシアのシンクロナイズドスイミングチーム、 リオデジャネイロへ出かける前に、7月28日、2016年=
アルチョム・コロタエフ撮影/タス通信ロシアはリオ五輪にまったく参加できない恐れもあった。リチャード・マクラーレン氏を委員長とする「世界反ドーピング機関(WADA)」特別委員会が、ロシアでは役人が関与して組織的なドーピングを行っているとの報告を発表した後、代表選手全員が除外される可能性が高まった。だがIOCは先月24日、最も厳しい制裁にはしないことを決定。同時に、一部選手を五輪に出場させないよう勧告した。それはドーピング違反歴のある選手や、WADA特別委員会の報告で名前のあがっている選手。
ロシアは結果的に、最悪の事態をまぬがれた。重い処分となったのは陸上と重量挙げで、陸上では女子走り幅跳びのダリヤ・クリシナ一人が出場を許可され、重量挙げでは誰も許可されなかった。また、ボートとカヌーでも多くの選手が出場を認められなかった。
一方、すれすれで出場が決まった選手もいる。2012年ロンドン夏季五輪男子4x100メートル・メドレーリレーの銅メダリストであるウラジーミル・モロゾフとニキータ・ロビンツェフは、WADA報告に名前があったとして、「国際水泳連盟(FINA)」によって除外されていた。報告では、ドーピングを使用した証拠は示されていない。2人は「スポーツ仲裁裁判所(CAS)」にリオ五輪の出場をめぐって提訴し、勝利した。ロシア選手の審査を行うために特別に設置された、3人の委員からなるIOC特別委員会は、正式に出場を認めた。
開幕後に出場を許可される可能性のある選手が数人いる。昨年の世界選手権女子100メートル平泳ぎで金メダルを獲得しているユリヤ・エフィモワには、十分可能性がある。ドーピングを使用した過去があることでFINAにリオ五輪出場を認められなかったことに対し、CASに申し立てを行い、勝訴している。エフィモワはすでにドーピング違反で資格停止処分を受けていることから、これが「二重制裁」にあたるとCASが判断した。リオデジャネイロに2ヶ所の事務所を開設しているCASは先に、昨年のボート欧州選手権銅メダリストのイワン・ポトシヴァロフと同大会金メダリストのアナスタシヤ・カラベリシチコワに対しても、同様の判断をしている。あとはIOC特別委員会の判断待ちである。
エフィモワの前例は、同じようにドーピングで過去に処分を受けたことのあるロシアの他の選手にも希望を与える。その中には、2015年レスリング世界選手権で銅メダルを獲得しているヴィクトル・レベジェフや、今年のツール・ド・フランスの自転車で優勝したイリヌル・ザカリンなどがいる。「今や潜在的に通過する方法がある」と、CASのマチュー・レーブ事務総長はロイター紙に述べた。
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