ロシア選手の不滅の世界記録

パーヴェル・クリジュニコフ選手=AP撮影
 ロシア人スポーツ選手が11月だけで2つの世界記録を樹立した。ほかにもスポーツの世界には、ロシア選手が樹立した不滅の記録の数々がある。その一端をご紹介しよう。

 2015年11月、ロシア人スポーツ選手が立て続けに2つの世界記録を樹立した。11月20日にはスピードスケート選手のパーヴェル・クリジュニコフ(21)が米ソルトレイクシティで行われたワールドカップ第2戦で500mを33.98秒で滑走、地球最速の男となった。

 続く29日には重量挙げ選手のアレクセイ・ロフチェフ(26)が米ヒューストンで開かれた重量挙げ世界選手権で歴史的快挙を成し遂げている。この競技で最も栄誉ある種目とされる105㎏超級のクリーン&ジャークで、ロシア選手は264㎏を持ち上げ、世界記録を叩き出した。

 ロシアのスポーツ選手たちはほかにどのような記録を持っているのか。ロシアNOWがご紹介する。

 

重量挙げ:打ち破ることが不可能な記録

 フレッド・グリンベルグ撮影/ロシア通信

 今の世代のロシア人重量挙げ選手たちには、目指すべき目標がある。最も鮮烈な模範が、1972年のミュンヘン五輪王者、ワシリー・アレクセーエフ(1942-2011)だ。キャリア通算で80もの世界記録を樹立している。

 うちのひとつ、重量挙げトライアスロンにおける記録は、いまだに打ち破られていない。1972年、タリンにおける大会で、ソ連が生んだ伝説のスーパーヘビー級選手は、3種(スナッチ、クリーン&ジャーク、クリーン&プレス)合計で645㎏を持ち上げた。もはやこの記録は打ち破ることが不可能だ。現在、公式大会では、トライアスロンは行われていない。

 現役当時、無敵を誇ったアレクセーエフ。成功の秘訣はどこにあったのか?

 「精神力だ。他の選手たちがどんな精神状態で演技場に出ていくかということに、私は驚かされた。一人の選手をいつになく注意深く見つめてやると、玉のような汗をかく。他のライバルに一言二言声をかけると、赤面したり、蒼白になったりする。神経が弱いのだ。だから負けるのだ。彼らは常に、私と戦い、かつバーベルと戦っている。でも必要なのはバーベルだけを相手に戦うことなのだ。誰にも脇目をふることはない」。アレクセーエフはこのように解説している。

 

棒高跳び:重力を超越した女神イシンバエワ

EPA撮影

 ロシアで最も有名な記録を保持するのは、現代を代表する女子スポーツ選手、棒高跳びのエレーナ・イシンバエワ(33)だ。2009年のチューリッヒで、同選手は5m6cmに設定されたバーを飛び越した。自身の27度目の記録更新となったこの驚異的な達成に、世界の誰一人、近づくことさえ出来ないでいる。

 たとえば、2012年のロンドン五輪の優勝記録はこれより30cmも低かった。このときチャピオンに輝いたのは米国のジェニファー・サーで、記録は4.75mと、控えめ。イシンバエワ自身は英国では振るわず、3位に甘んじた。

 イシンバエワ自身、自らの記録に6年間近づけないでいる。2013年の「世界陸上モスクワ」閉幕後には出産のため活動停止を発表。5.06mという記録は次世代の選手たちにとって、長らく目標となるかも知れない。

 

ハンマー投げ:80年代の強力な一投

セルゲイ・グネエフ撮影/ロシア通信

 この30年間に陸上選手たちは、ほとんどあらゆる種目で世界記録を更新し得た。不動のまま残されている記録はほんのいくつかだけである。

 そんなひとつが、ソビエトのハンマー投げ選手、ユーリー・セディフ(60)の保持するものだ。五輪二冠の同選手は、1986年シュトゥットガルト開催の欧州選手権で、86.74mという考えられない距離まで得物を投げ飛ばした。「今のところ、私の記録を打ち破れるような人間は見当たらない」。同選手の言葉を「論拠と事実」紙が伝えている。

 セディフにはそれを言う資格がある。何しろ彼には、16年にわたりレオナルド・ダ・ヴィンチ大学(フランス)で教鞭をふるってきた経験がある。そのコーチとしての活動でも、すでに成果を挙げている。娘のアレクシアが、2010年シンガポールで開かれたユース五輪でチャンピオンになったのだ。

 

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