ロシアでも「ポケモンGO」人気過熱=
Panthermedia / Vostock-photo撮影モスクワの中心部、赤の広場では、夕日の下でルビースターが輝き、旅行者はレーニン廟を背景にセルフィー(自撮り)している。一見何の変哲もない光景だ。人混みの中で必死に手招きをするマンキーと、その近くに絶えず動くコイキングがいる以外は。モスクワ中心部まで到達できた人は、自分のポケボールのチャンスを手に入れる。
リアリティが追加されたスマートフォン向けゲームアプリ、ポケモンGOは、世界で最も人気のあるゲームの一つになったが、ロシアではまだ正式に配信されていない。それでも、すでに大勢のロシア人が、自分のスマホのカメラを通じて、小さなモンスターを捕獲している。
ペスコフ大統領報道官は、クレムリンの敷地内で人々がポケモンを探し始めるとしたらクレムリンとしてはどうか、と記者団から質問を受け、「世界文化の宝庫であるクレムリンを訪れる理由がポケモンになるなんて」と答えた。クレムリンにポケモンはいるのか、との別の質問には、知らないと答えた。だがクレムリンにポケモンはいる。しっかりと確認した。
「小学3年生の頃からポケモンが大好きだった。ポケモンGOに僕のすべての時間を奪われるかも」と、ポケモン好きの一人、ニキータさんは話す。「僕は彼女とポケモン・チャットで知り合った」と、別のポケモン好きのアンドレイさんは話す。ポケモンは2000年代初めから、Y世代の心をわしづかみにしてきた。ロシアも例外ではないのだ。
多くのロシア人は、この質の高くて変わった外国の商品が、なじみ深いが飽きてしまったソ連文化との大きなコントラストを描いたことを思い出す。有名なポストモダニズムの作家ヴィクトル・ペレーヴィンの小説「数」の中では、ピカチュウが主人公の分身になっている。2000年代の初めに子どもだった人の多くは、いまだにポケモンに温かい気持ちを抱いている。
一方で、ポケモンは合わないという人もいる。ロシアではポケモンGOの捕獲で正教会に来る人もいることから、過激な保守・宗教勢力からの批判が集中している。「我々の教会は日本の悪魔・ポケモンに占拠され、それを捕獲するスマホを持ったヒップスターに占拠された」と、有名な正教活動家ドミトリー・エンテオ氏が、教会での仮想ポケモンの登場とその捕獲について、短文投稿サイト「ツイッター」の自身のアカウントにコメントを書き込んだ。
ロシアの国会議員も、このゲームアプリの使用領域を制限すべきだと言い始めた。上院(連邦会議)議員のフランツ・クリンツェヴィチ氏は例えば、ポケモンGOで遊べる場所から、宗教施設、刑務所、病院、また墓地や記念施設を排除してはどうかと提案した。
ロシアの交流サイト(SNS)では、ポケモンGOの権利をめぐり、激しい競争がくりひろげられている。ロシア最大のSNS「フコンタクチェ」には、すでにポケモンGOのグループが1000以上あり、数万人の登録者がいる。
アメリカ系検索大手「グーグル」のトレンドによると、ロシアではここ7日間で、「ポケモン アプリ」と「apk mirror」(ロシアでは未配信であることから、公式の「グーグル・プレイ」からインストールできないため、この技術でアプリを取得する)の検索件数が、5000%増加した。
興味を示しているのは、一般ユーザーだけではない。ロシア有数の大きさを誇る「プーシキン美術館」は最近、ツイッターに展示ホールとポケモンの絵をのせて、「ポケモンを捕まえるだけでもいいので、美術館にぜひお越しを」とのコメントを書いた。
さて、赤の広場に行ったら、きっとマンキーが待っている。
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