冬のオリホン島では、凍ったバイカル湖の波しぶきが高さ数メートルに達し、なんとも不思議な形を作り出す。それが何に見えるかは、あなたの想像力次第である。
わたしたちは、氷の彫刻家たちが自然と一体となって作り出した数々の作品を披露するオリホンの驚くべき氷彫フェスティヴァル「Olkhon Ice Fest」を取材した。
氷彫がもっとも美しい時間は夕暮れどきだとアーティストたちが声をそろえる。赤く染まる空が氷彫を美しく照らし、作品をさらに謎めいたものにする。
オリホン島の岩の上に1匹の巨大な魚が登場した。その背中には、まさにわたしたちの訪れたフジル村が表現されている。
「オリホン島には、バイカル湖の底深くに眠る、古代の最初の魚に関する古い伝説があるんです」とキロフスク(ムルマンスク州)からやってきた彫刻家のイワン・ロクチュヒンさんは話す。「人間が何か間違った行いをすると、魚は目を覚まし、怒り狂い、そうなれば人間は痛い目に遭う。そんな少し黙示録的な魚ですが、眠っている間は善良なのです。わたしたちは正しい生活を送らなければなりません。魚を起こしてはならないのです」。
フェスティヴァルの今年のテーマは「バイカルの宇宙」。
「自然そのものがわたしたちのヒントをくれます。ここには、すでにシャーマンの仮面、杖を持つシャーマンの手があり、その近くに凍った水しぶきが作りだした森がありました」と語るのは、バルナウル(アルタイ地方)出身の彫刻家、アレクサンドル・パルフェノフさん。
またウラルの彫刻家たちは、大きくて幅のある岩の上に、新たな宇宙の創造を目にした。まるで何か神の力がストローで、世界を吹き飛ばそうとしているかのようである。
あるアーティストは言う。「パレイドリアという言葉があります。これは、雲の形から、亀や人の顔などを思い浮かべたりすることなのですが、わたしたちがやっているのはまさにそれです。ただわたしたちは雲ではなく、氷の中にそれを見出しているのです」。
アイス・パークにはバイカル湖のように澄んだ氷の塊から作り出された彫刻もある。バイカル湖の氷は湖水の成分が理由で、とくに崩れやすいと言われる。アレクセイさんは「それは本当に生きているかのようです。ひび割れがたくさんあり、予想不可能です。素材としては扱いにくく、氷と話をつける必要があるのです」と語っている。
氷彫フェスティバルは2020年からオリホン島で開催されており、数千人のツーリストを集めている。現在、フェスティバルはシンポジウムとも呼ばれ、複数の彫刻家たちが共同で制作を行っている。アーティストたちは作品の下書きを持たずに現地入りする。
今年はロシアの彫刻家10人、モンゴルの彫刻家3人がアイス・パークを作りあげ、照明など15人の技術スタッフが参加した。
アイス・パークは3月15日までオープンしている。開催期間はわずか1ヶ月。バイカルに春が訪れ、氷が融けると、このおとぎ話のような彫刻は写真の中だけのものとなる。
「もう何年もここに来ていますが、毎年、何か新しいものを目にしています」とアレクサンドルさん。「わたしたちはまるで新たな宇宙をまた創造しているようなものです。これらすべての彫刻は春には融けてしまいます。しかし作品は永遠です。なぜなら水の記憶は永遠だからです」。
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