モスクワから自動車道M5「ウラル」に沿って車を走らせると、430キロほど走行したあたりで、ちょっと変わった場所に辿り着く。
モルドヴィアにある労働者の村ウミョトは、人々から、「もっともおいしい村」という称号を与えられている。というのも、自動車道に2キロにわたって、100軒ほどのカフェ、そして飲食のキオスクが並んでいるのである。
この沿道サービス施設はすべて、遠距離運転手と観光客のためのものである。村の人口はわずか2500人だが、その大部分が外食産業で働いている。
数えきれないほどのカフェがここにオープンしたのは1990年代のこと。ソ連崩壊と経済危機の後、主要な企業、木材加工コンビナートが閉鎖されたのを受けて、地元の住民たちは遠距離運転手に目をつけ、彼らに飲食サービスを提供することにしたのである。
カフェのほとんどはシャシリク(肉の串焼き)、またスープ、カツレツ、マッシュポテト、パンケーキといった家庭料理を供している。数ある店の中で、今でも一番有名なのが「モルドヴィンス(かつてのモルドナルド)」である。概して、ここで営業しているカフェの名前は、「ソ連生まれ」、「キイチゴの鐘」、「ブラザー」、「義母の家に招かれて」などなかなか多彩で興味深い。
ちなみに、多くのカフェは、外観こそ控えめでありながら、利用客からはとても良い評判を得ている。とくに評価されているのは、量が多く、値段が安い点である。
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