アムールトラの95%がロシアの沿海州(プリモーリエ)、ハバロフスク地方、アムール州、ユダヤ自治州に生息している。残りは中国の北東、そして一部が北朝鮮に住んでいる。そこで、アムールトラはウスリートラ、シベリアトラ、満州トラ、北中国トラなどとも呼ばれている。
6つあるトラの種類の中で、アムールトラはもっとも大きく、もっとも強い。このしま模様の捕食動物は、一生かけて成長し、全長2メートル、体重250キロというサイズにまで大きくなる。たとえば、スマトラトラはこれに比べればかなり小さく、大きなオスでも体重は140キロしかない。
アムールトラは、冬になるとお腹に5〜6センチの脂肪層を作り、またもっとも密な毛皮がある。これで厳寒も、空腹の冬も、雪の山も恐れない。
トラの王には広大な土地がある!アムールトラは平均して、100平方キロメートルの土地を管理下に置いている。1日に最大41キロ移動することができるが、通常は10キロほどを歩く。
トラの最大移動速度は時速72キロ。10メートルの幅、5メートルの高さをジャンプすることができるが、30秒後にはこれほどのスピードに疲弊する。もし獲物を捕らえるのに失敗した場合には、獲物を遠くまで追いかけることはなく、少し横たわって体を休ませる。
人間を襲うことはないが、自分のテリトリーを管理するため、その動きにはかなり興味を持つ。
アムールトラは雑食性である。クマをも食べるが、ノロジカ、イノシシ、魚を好む。トラがお腹いっぱい食べるには1年に50〜70頭の有蹄類が必要である。一度に20〜40キロの肉を飲み込むことができるが、1日の平均食糧は10キロほどである。動物を捕獲するのは夕方か夜か早朝で、日中は休息をとっている。
アムールトラについての記述が初めて現れたのは1844年のことである。19世紀、ロシア領内にはおよそ1000頭のトラが生息していたが、それが1930年代には30頭にまで減少した。1947年、ソ連ではアムールトラの狩猟が全面的に禁止され、絶滅の危機のある動物を掲載するレッドブックに登録された。現在、レッドブックに掲載された動物の不法な捕獲や飼育に対しては、罰則が設けられている。
希少な動物を守るためのさまざまな方策により、個体数は増加した。2022年、ロシアではおよそ750頭のアムールトラがいる。もっとも密に生息しているのが国立公園「ヒョウ・ランド」と自然保護区「ケドラヴァヤ・パジ」(沿海州)である。
トラの平均寿命は15〜18年。4歳で性成熟期を迎える。トラの子どもたちは半年まで母トラの乳で育てられ、2歳まで親のそばにいるが、その後、初めての狩猟を始める。父トラも近くに暮らすが、子トラのしつけには関わらない。
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