チュクチ自治管区はロシアおよびユーラシア大陸でもっとも東に位置しており、地球のまさに端であり、他のロシアの地方とは全く異なる。ここは、ツンドラすなわち永久凍土に覆われた半島で、チュクチ海とベーリング海に囲まれている。この地方の大半は北極圏内で、常に寒冷で、風が強く雨も多いが、それ以上に他のどの場所でも見ることが出来ない素晴らしい驚くべき光景が広がっている。
ツンドラとは退屈な単調なところだと思っていないだろうか。それは違う。山も川もあり、小さな花々がたくさん咲く。この土地はいくつかのヨーロッパの国を合わせたほどの広大な大きさだが人口はわずか5万人ほどで、ほとんどの人々は海岸近くに住んでいる。ツンドラはトナカイを追って暮らしている遊牧民の故郷なのだ。
沼地や湖があるツンドラの山々の間を流れる冷たい川
Alexander Krymov/Chukotka Autonomous Okrug Government霧の中のベーリング海。冷たく荒れ狂う海はアジアと北アメリカの大陸を分け隔てている。海面を見ることが出来るのは夏の間だけで、残りの期間は氷に覆われている。
巨大なセイウチはベーリング海の主だ。彼らは好みの場所で群れをつくって集まり、お互い会話しているように吠えている。この場所をルッカリー(集団営巣地)と呼ぶのは無理がある。なぜならここは海の中だからだ。
最北部のこの半島に面するチュクチ海は北極海につながっており、ベーリング海よりもさらに冷たい。ここの氷は夏になっても融けることはないが、ホッキョクグマはそんなことは気にしない。
チュクチ自治管区にはロシア(およびアジア)の最東端地、デジニョフ岬がある。この岬の名は、コサックの探検家セミョン・デジニョフにちなんでつけられた。この地球の果てがとんなところかもっと知りたければこちらからどうぞ。
不思議なことに、ツンドラすなわち永久凍土の中に温泉が湧いている。ここはチュクチ半島の東部にある村ロリノから15㌔離れたところにある。ここにある2つの温泉は隣り合っているが湯温は異なる。摂氏40度と60度なのである。
チュクチ自治管区北東にあるウランゲリ島は地球の西半球と東半球の間に位置する。ここには180度経線が通っており、時間を今日と明日に分けている(日付変更線は正式には便宜上ロシアとアメリカの海上国境線まで動かされている)。しかし、この島を歩いて横断することは出来ない。というのもここは無人島だからだ。ウランゲリ島の別名は「ホッキョクグマの島」だ。
しかしながら、180度経線はチュクチ自治管区の内陸部も通っている。その場所はここだ。
180度経線近くにある山麓の干上がった川床
Alexander Krymov/Chukotka Autonomous Okrug Governmentベーリング海のイティグラン島にあるクジラの骨の小路。ここはコククジラまたはホッキョククジラの顎骨で覆われている。この小路がつくられたのは14世紀から16世紀の間で、古代エスキモーたちの聖なる場所であったのではと考えられている。これが発見されたのは1976年になってからである。
ヘリコプターから見たチュクチ自治管区にあるツンドラの山々
Sylvain CORDIER/Gamma-Rapho via Getty Images打ち棄てられた北極圏の町イウリチンに通ずる道。1930年代、世界最大の錫、タングステン、モリブデンの鉱床のひとつがここで見つかった。1990年代に起こったソ連崩壊にともなう危機で、工業生産は止まり、企業は倒産し、ここに住む人たちは村を離れた。
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