ロシアの地理的重心はどこか?(写真特集)

ロシア・ビヨンド, Igor Gavrilov, Googleマップ
 過酷な気候、永久凍土、長く続く極夜―そこでは何キロも人がいない。世界中に、国の中心がこんなところである国は他にあるだろうか?

 ロシアの地理的重心はどこだろうか。それは、ウラル山中でもなければ、ヴォルガ川沿岸でもない。この国の「中心」は、シベリアの大変な僻地の中―エヴェンキ自治管区のヴィヴィ湖岸―にある。それは一体どんなところなのだろうか?

 ヴィヴィ湖はこの地方最大の淡水湖で、地元の人はこれをこの地方の「バイカル湖」と呼んでいる。と言うのも、この湖は長さが90キロ、幅は最大で4㌔の細長い形をしていているからだ。ロシア北部の極寒の地にあるため、一年の大半はこの湖の表面は凍りついている。7月になっても水温は温かくならない。

 ここは1992年にロシアの地理的重心であると認定された。地理学協会会員であるピョートル・バクート技術科学博士が座標を算出し、北緯66度25分、東経94度15分であるこの場所、ヴィヴィ湖の南東沿岸を特定した。ここは、北極圏から16㌔しか離れていない!

ロシア地理的重心の碑

 1992年の夏、ロシア地理学会探検隊がロシアの象徴である双頭の鷲を頂点に付けた花の形をした7㍍の碑をこの地に建立した。碑の下部には、湖岸で集められた石で飾られている。この探検隊によってそこにタイムカプセルも置かれた。

 8月の終わりになって、ロシア連邦測地・地図制作局がロシアの地理的重心としてこの地を公式に確定した。2006年、ここにロシア正教で最も敬われている聖人のひとりであるラドネジの聖セルギイを祀るチャペルが建てられた。

ラドネジの聖セルギイのチャペル

 ヴィヴィ湖は、滝や岩が多く世界の最果ての地のひとつに数えられる土地、プトラナ台地に存在している。周囲には何も無く、野生動物と岩がごつごつした光景が広がる。まさに不毛地帯の真只中である。

 エヴェンキ自治管区の首都であるトゥーラ村が最も近い集落だ。この村には5000人が住み、そのうちの4分の1が主にエヴェンキ族などの先住民族である。この村から366㌔離れたヴィヴィ湖岸まではヘリコプターか船で行く。ロシアの地理的重心に行こうとする人はあまりいないが、そこを目指す観光客は通常この村で1泊することになる。

 この湖自体、秘境好きなハイカーだけでなく、釣り愛好者の間で有名なところである。ヴィヴィ湖にはサーモンなどおよそ40種類もの魚が生息しており、133河川が流れ込んでいる。そして、この湖を特別にガイドしてくれるツアーもある。

 湖は文明社会から隔離されているので、ほとんど未踏のまま残されている。これまで深度なども測られていないが、場所によって80㍍から200㍍あるという研究もある。

 2021年にはヴィヴィ湖という名の付いた自然保護区がこの湖の周辺に設けられた。

 プトラナ台地にあるこの湖のおよそ北東100㌔には、もうひとつ、興味深い場所がある。到達不能極―この国でもっとも交通路から遠ざかっている場所である。地理的な極点を探検するのを好む人たちにとってはとても価値のある場所となっている。

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