エルミタージュ美術館、ラファエル派のフレスコ画をNFТで販売

 ロシアの主要な美術館であるエルミタージュ美術館は、新技術を積極的に取り入れ、デジタルアートという概念を支持している。2023年9月、エルミタージュ美術館は貴重な美術館のコレクションに含まれる作品のデジタル版のNFТ(非代替性トークン)での販売を開始した。

 エルミタージュ美術館が販売しているのは、自らのコレクションに含まれる16世紀のフレスコ画。ラファエルの弟子が描いたこの作品を―と言っても本物ではなく、デジタルアートとしてではあるが―誰でも13万5000ルーブルで買うことができるのである。

 美術館は不滅の古典作品をデジタル化するプロジェクトに着手し、現在、修復されたばかりの3つのフレスコ画(「イルカに乗ったヴィーナスとアムール」、「足のとげを抜くヴィーナス」、「ヴィーナスとアドニス」)をNFТで販売している(3枚目はすでに買い手がついている!)。

 エルミタージュ美術館では5年にわたり、フレスコ画の修復を行い、後に絵画の上に塗られ、オリジナルの作品、そしてその内容の意味すらを歪めていたいくつもの層を取り除き、原画を取り戻すのに成功した。NFТで売られている作品には、実際には見ることができない修復前と修復後の両方の状態が含まれていることから、きわめて貴重なものとなっている。

 「エルミタージュ美術館で働く、わたしたちスタッフはイノベーションが大好きなのです」とミハイル・ピオトロフスキー館長は語る。「今回のプロジェクトでも、美術館事業を発展させ、まったくユニークな作品を作るために最新の技術を用いています。修復の段階でしか目にすることができず、そして後には普通残らないフレスコ画の変遷の過程が収められています。これは本当にかけがえのない工程です。なかったもの、そしてもうない貴重なものを作ることができるというのがNFТの持つ大きな意味です」。

 NFТ化されたこの作品を購入できる人数は限られているが、幸運な人々はNFТアート作品のデジタル著作権を手にすることができる。所有者は後にこの著作権を交換したり、売却することもできる。

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