2022年、ロシア軍はT-14「アルマータ」戦車の量産を始める。今後数年で、同国は132両のT-14を配備する予定だ。
ロシア国防省がT-14のメーカーに外国への同車の販売を許すのは、ロシア軍に132両を納入し終えた後になるだろう。
「T-14はすでに『輸出品パスポート』を得ている。これは外国との契約用に兵器の特徴を規定した技術文書だ。輸出用のT-14はロシア軍に配備されるものと比べて性能が劣るが、それでも市場で最先端の戦車であることは変わりない」と雑誌『独立軍事評論』のドミトリー・リトフキン編集長は話す。
彼によれば、すでにインド、中国、アルジェリアの3ヶ国がすでにこの戦車に関心を示しているという。
「アルジェリアとインドはロシアの重装甲車両の主要購入国であり、大量のT-14の購入に関心を示している。中国は限定的な数のT-14を購入するだろう。同国がいつもやるように、ロシアの新兵器を調べ、どの技術が優れているかを明らかにするためだ」と編集長は言う。
彼の考えでは、数年後にはT-14「アルマータ」の価格はかなり下がるだろうという。
「現時点でこれは世界で最も高価な戦車の一つだ。数年前の噂ではT-14『アルマータ』戦車の価格は800万ドル(約9億2千万円)は下らないという。この戦車は完全に一から作られたからだ。全く新しい装甲、新しい武器、新しいエンジン、新しい防御システムとカムフラージュを備えている」と編集長は指摘する。
「世界のT-14のライバルは旧世代戦車の近代化版だ。我々の戦車は一から設計され、別の戦闘車両のベースとなる新しいプラットフォームが作られた」と雑誌『国防』のイーゴリ・コロトチェンコ編集長は話す。
「アルマータ」のプラットフォームは敵の砲撃から乗員を守る独立したモジュールだ。
「砲塔は常に戦車の最大の弱点だった。新しいプラットフォームは乗員を装甲の厚いモジュール内に隠し、戦場の標的を自動的に探す無人砲塔を搭載している」とコロトチェンコ氏は言う。
砲塔は自動装填式の125 mm滑腔砲を持ち、レーザー誘導ミサイルを発射することもできる。次世代の戦車装甲をも貫通できる152 mm砲を搭載することもできる。
「2つの砲の違いは価格と必要性にある。125 mm砲は152 mm砲よりも精度が高くて安定している。したがって今のところ、より高価な、現代のあらゆる戦車を破壊できる大砲を搭載する必要はない。将来、外国の技師がT-14の125 mm徹甲弾から戦車を守る術を見つければ、砲のグレードアップがなされるだろう」とこの専門家は指摘する。
またT-14は多層式の複合装甲「マラヒート」を持つ。この装甲は大半の対戦車兵器の衝撃に耐え、自ら爆発することで接近する砲弾やミサイルを破壊できる。
「T-14は最新の爆発反応装甲によって敵の砲弾やミサイルから守られている。敵のミサイルの信号を妨害し、戦車に到達する前に目を眩ませる電子装置も有している」とコロトチェンコ氏は言う。
彼によれば、T-14「アルマータ」(55トン)は米国のライバル製品、M-1A2「エイブラムス」(74トン)よりも軽いという。速度も大きく、最大で時速80キロメートルに達する。
*T-14の技術的な特徴について詳細はこちら。
しかし、T-14には2つの大きな短所がある。価格と製造の複雑さだ。「ソ連のT-34やT-72と同じ要領で『アルマータ』を作ることはできない。T-14はコンピューターやナビゲーションシステムを詰め込んでおり、赤外線やレーダーから身を隠すさまざまな手段を持っている。ロシアはT-14を限られた数だけ配備し、後は同盟軍に供給するだろう」と退役大将で歴史学博士でもあるレオニード・イヴァショフ氏は話す。
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