ロシアが新しい偵察ドローンの初飛行を予定

Vitaly V. Kuzmin/vitalykuzmin.net
 戦場で戦局を変え得る情報を軍にもたらすことになる。

 大型の無人偵察攻撃機「シリウス」が2022年に初飛行を実施し、そして6ヶ月後にはロシア軍に向けて量産が始まる。2022年1月下旬にクロンシュタット社(ロシアを代表するドローン・メーカーの一つ)のCEO、セルゲイ・ボガティコフ氏が発表した。

 この無人航空機は300キログラムの無誘導爆弾・ミサイルを搭載できる。しかしメーカーによれば、「シリウス」の主要な任務は戦場での情報収集だという。

 「この兵器は哨戒や偵察、敵軍の動きを写真や動画に収めることを目的に作られた。電子戦装置を使って敵のコンピューターを妨害することもできる」と同社は発表している。

「シリウス」の特徴

 「このドローンが他のものと異なるのは、完璧な戦術連携管理システムの道具として使うことができる点だ。戦場の諸部隊と連携し、その所有者の有利になるよう戦局を変えるのに役立つ」と同社は述べる。

 要するに、ドローンは軍や砲兵隊に恒常的に偵察情報を送るハブとして用いられる。

 「シリウス」用の特殊な爆弾は必要なく、既存のあらゆる小型航空兵器を搭載できる。ほぼすべての現代小型兵器を搭載できる点が、外国製品と比べた際の長所だと同社は考えている。

 同社は「同機の近代化改修の潜在性は大きく、他のものと比べて幅広い小型兵器を使用できる」としている。

 「シリウス」は「オホートニク」や「グロム」とともに任務を行うことになる。後者2つは「シリウス」の偵察情報を利用しながら戦闘機とともに前線で戦う。

 「当初は『シリウス』に兵器を追加する計画はなく、すべてを見渡して誰にも見つからない小型機を作るつもりだった。しかし開発の過程で航空攻撃システムを追加する可能性が見出され、我々は『シリウス』に牙を加えることにした」と同社は締め括る。

外国製品との比較

 ロシアの専門家は、「シリウス」が米国製やイスラエル製の最高性能のドローンと肩を並べると指摘する。

 「違いはただ一つ、これらよりも廉価で手頃だということだ。これは長所であり、また短所でもある。『シリウス』は米国やイスラエルのドローンが持つステルス技術を応用していない。したがってロシアの無人機は、外国の最高の製品と比べて現代の防空システムによる視認性は高いだろう」とCIS諸国研究所ユーラシア統合・SCO発展部長のウラジーミル・エフセエフ氏は話す。

 彼によれば、ロシア軍は地上戦力の能力を高められる、廉価なドローンの開発に集中している。

 「同機は特にリアルタイムの戦闘状況において地上部隊を効果的に管理することを目的に作られた。ミサイル部隊や砲兵部隊の射撃精度を高めるのに最適な道具だ」とエフセエフ氏は言う。

 また彼によれば、「シリウス」は「オリオン」を大幅に改良したもので、積載量と航続距離がかなり大きくなっているという。

 「主な目的は偵察を行って戦場のデータを部隊に送ることだ。高精度兵器の効果を高める技術戦力の一要素である」と同氏は締め括る。

 2023年、クロンシュタット社は軍に向けて「シリウス」の量産を開始する。同社はロシア軍に納入する具体的な機体数は明かしていない。外国に向けた供給を始めるのはロシア国防省との契約を履行した後だという。

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