なぜロシア人はペットに日本風の名前をつけるのか?

Kira Lisitskaya (Photo: Personal archive; Freepik)
 ロシアではシャリクやムルジクなどというロシアの典型的な名前の代わりに日本風の名前のついたペットを見かけることが多い。プードルのトーキョー、猫のフシミ、芝犬のウサギ・・・。ロシア・ビヨンドが、これらのペットの飼い主たちになぜ日本風の名前をつけたのかお話を伺った。

猫のフジ(3)、飼い主:ポリーナ・ゴルベワ(25)

 「この猫は、動物シェルターから引き取ったものなのですが、実はわたしたちが飼う前に、別の飼い主に飼われていました。でも換気用の管に入り込むので、緊急部隊を呼ばなければならなかったりして、シェルターに戻されたということでした。それで、わたしたちはこの猫を家に連れ帰ったのですが、最初、猫はとても怯えていました。わたしは子どもの頃から日本に興味があり、猫に強くて元気な子になってもらおうと、フジという名前(漢字にすると、富士とも書けるし、不死、藤にもなります)をつけました。灰色がかった白い毛が、頂上に雪を冠した富士山を思わせるというのもあります」。

猫のミサト(1)、飼い主:エカテリーナ・デレヴニナ(25)

 「わたしは猫にミサトという名前をつけました。この名前はアニメ、エヴァンゲリオンに出てきたもので、とてもきれいな名前だと思ったのです。それからインターネットでこの名前の意味を調べたら、ある記事に、この名前は美しい里という意味だと書いてありました。わたしの苗字の一部は村、里という意味なので、猫の名前とわたしの苗字を関連づけたら面白いと思いました。また夫がアレクサンドルという名前なので、ここから父称をつけて、ミサト・アレクサンドロヴナという響きも気に入ったんです」。

猫のセイタ(13)、飼い主:ニコリ・スキアシャンツ(26)

 「わたしの猫はカナダのスフィンクスで、セイタという名前をつけてから13年になります。宮崎駿のアニメの主人公の名前をとって、日本風の名前をつけました。女性の名前はどれも、猫の性格にピッタリこなくて、男性の名前から選ぶことにし、ちょっと悲しいアニメ『火垂るの墓』の登場人物の清太と名付けました。」

猫のフシミ(2)、飼い主:アナスタシア・ムハメドワ(25)

 「わたしの猫はフシミという名前です。わたしの大好きな京都の伏見稲荷大社から取りました。大学でわたしは稲荷大神と狐の関係について研究していたので、伏見という名前をつけることにしました。将来的に赤毛のコーギーを買うつもりで、その時は稲荷とつけようと思っています」。

プードルのトーキョー(2)、飼い主:ニーカ・レフトワ(17)

 「トーキョーという名前を聞くと、ペーパーハウスというドラマのヒロインの名前かと思う人が多いのですが、実はそれとはまったく関係はありません。この名前をつけたのは、日本の文化はとても繊細で簡素で高尚な感じがするからです。トーキョーとつけたのは日本のシンボルだからで響きもきれいだからです」。

芝犬のウサギ(7)、飼い主:エレーナ(37)

 「1990年代を知っている人なら、カルト的アニメ、セーラームーンと主人公の月野うさぎを知らない人はほとんどいないでしょう。わたしの犬の名前はそこから名付けました。性格的には、善と正義を追求するような犬ではありませんが、日本の犬には日本ぽい名前が合うと思います」。

ビション・フリーゼのアイイロ(5)、飼い主:レイラ・テケエバ(24)

 「わたしの犬は愛色という名前です。日本風の名前をつけたくて、漢字からこの名前にしました。わたしの犬は愛に溢れていて、とても親しみやすく、毛の色が白いので、愛の色という名前がピッタリだと思います」。

秋田犬のキバ(7)、飼い主:ヤーナ・ブリコヴァ(25)

 「この名前をつけたのにはいくつか理由があります。キバはアメリカの秋田犬、つまり日本の秋田犬とジャーマン・シェパードとマスティフの掛け合わせなのです。この犬種はアメリカに軍人が戦後、日本から秋田犬を連れ帰った後、生まれたものです。そこで、犬が日本のものなのだから、名前も日本風にしようと思いました。次に、この犬はとても大きくて、仔犬のときから一番大きかったんです。それでジャック・ロンドンの小説『白い牙』を連想しました。その言葉を翻訳してみると、キバと書いてあったので、それを名前にしました」。

猫のアイ(2)、飼い主:ジェーニャ・ババイキナ(17)

 「アイは生まれてからかなり長い間、名前がないままでした。いろいろな名前を考えたのですが、しっくりこなかったのです。しかし、数ヶ月経って鳴き出すようになったんですが、それがとても面白くて、ニャーと言わずに、アイアイというんです。わたしは学校で日本語を勉強しているので、これを名前にしようと思いました。両親はわたしの話を聞いて、この名前を気に入っています」。

プードルのカミ(2)、飼い主:エレーナ(39)・スネギレワ&ニコライ(33)・スネギレフ

 「わたしはペットのプードルにパッと思いついた名前をつけました。カミはまだ赤ちゃんだったときに、サンクトペテルブルクからモスクワのうちに連れてこられました。わたしは日本の古代文化、特に神道に興味があるのですが、神道では、山にも川にも木々にも神が宿っているとされています。そして、わたしにとって、カミは、家の中の優しい神のような存在だからです。とはいえ、カミと呼ぶよりも、より愛情を込めて、『カーミチカ』と愛称で呼ぶことの方が多いです。大きくなっても、仔犬のような性格のままだからです」。

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