ロシア帝国にミカンがもたらされたのは、19世紀後半のこと。ヨーロッパから持ち込まれたこのエキゾチックな果物は、富裕層でなければ手に入らなかった。通常、納入されるのは1月末で、もちろんお正月には間に合わない。
やがて、ミカンの木はグルジアに現れた。しかし、近くなったとはいえ、「太陽の黄金のリンゴ」は相変わらず希少で効果な果物だった。
状況が一変したのは1960年代。ミカンを積んだ貨物船がモロッコからソ連に到着してからだ。丁度、新年が目前だった。
新年前には他に新鮮な果物も無く、価格も手の届くものになったため、シトラス系の香り高いミカンはたちまち新年の定番となった。
以降、何世代にもわたり、人々は新年を迎えるにあたってミカンを用意するようになった。今やエキゾチックな果物は何でも手に入るが、それでも、やはりミカンなのである。
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