2024年8月19日、ウラジーミル・プーチン大統領は新たな法令に署名した。それによると、伝統的なロシアの精神的・道徳的価値観を共有する外国人は、人数に関する所定の割り当てに関係なく、またロシア語の知識を求められずに、ロシアにおける「一時滞在許可」を取得できるようになる。
この法令によれば、それは、人権と自由を保護するものであり、また、「ロシア連邦との精神的、文化的、法的なつながり」を優先する選択をした個人を支援するものだという。
これが実際に何を意味するのか見てみよう。
これは外国人がロシアに住み、働くことを許可する文書だ。期間は最長3年で、その後はロシアで「永住権」を申請するか、ロシアから出国するか、あるいは、出国後に新たに一時滞在許可を取得して再入国する必要がある。3年を超えて期間を延長することはできない。
一時滞在許可は次の場合に必要となる。
永住権に比べると、一時滞在許可にはいくつかの制限がある。第一に、その有効期間。第二に、一時滞在許可では、それが関連付けられているロシアの地域でしか就労と居住の権利がない。
この新しい法令が導入される前は、一時滞在許可を取得するには、一連の書類のほか、ロシア語、歴史、および基本的なロシア法に関する知識の証明も必要だった。そのためには、専門機関で試験に合格するか、ロシアまたはソ連で受けた教育に関する文書を提出しなければならなかった。
さらに、一時滞在許可を申請するには、国から特別な割り当てを受けなければならなかった。割り当てなしで一時滞在許可を申請できるのは、限られたカテゴリーの者だけだ(たとえば、ロシア国民の配偶者、兵役に就いた人、または高度な資格・技能を有する専門家。完全なリストはここにある)。
伝統的な価値観には、生命、尊厳、人権と自由、愛国心、市民権に加え、高い道徳的理想、強い絆で結ばれた家族、物質的なものより精神的なものの優先、歴史的記憶の尊重などが含まれる。また、この概念には、キリスト教、イスラム教、仏教、ユダヤ教などのロシアの伝統的な宗教も入る。
新しい法令によると、2024年9月1日から、一時滞在許可の申請者は、割り当てを取得したり、ロシア語と歴史の試験を受けたりする必要がなくなる。
ただし、それは次の場合に限る。その人が、「破壊的なネオリベラリズムのイデオロギーを押し付ける国々が行う政策を受け入れない動機から、ロシアへの移住を決めた場合である。こうしたイデオロギーは、伝統的なロシアの精神的・道徳的価値観に矛盾する。そして、この価値観は、伝統的なロシアの精神的・道徳的価値観の保存と強化に関する基本的国家政策によって規定されている」。
しかし、移住の動機をどう正確に証明する必要があるのかは、法律で規定されていない。
一時滞在許可の申請者には、ロシアでそれを取得できるよう、期間3か月のシングル入国ビザ(1回だけの入国に有効な短期滞在ビザ)が発行される。
あり得る。それは次の場合だ。
外国人が一時滞在許可を拒否された場合、前回の申請が却下された日から1年以上経てば、再申請する権利をもつ。
また、一時滞在許可が取り消されることもある。それは上記の理由および以下の理由による。
詳細については、法律「ロシア連邦における外国人の法的地位について」をご覧ください。
ロシア連邦政府は、外務省から提出資料を受けて、9月1日までに、「破壊的なネオリベラリズムのイデオロギーを押し付けている国」のリストを承認しなければならない。
「リストには、欧州連合(EU)諸国と西側諸国全体が含まれる可能性が大きい。そこでは、LGBTの権利(この運動は、ロシアでは「過激派」と認識され、禁止されている)、および同性婚が支持され、伝統的価値観が抑圧されている」。政治学者アレクサンドル・ネムツェフは、ロシア紙「ヴェドモスチ」にこうコメントした。
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