現在、モスクワ上空を飛行できるのは、高度8100メートル以上を飛行する旅客機、そしてロシア非常事態省、ロシア連邦警護庁など国家組織や省庁のヘリコプターだけである。しかし、どうしても必要だという場合には、エアタクシーを見つけることができる。とはいえ、そのタクシーが便利かどうかというのは、また別の問題である。
首都の上空を飛行するには、特別な許可証を取得する必要がある。しかし、ビジネス航空便にその許可はおりないため、モスクワ市内から出発したり、またモスクワ市内に降り立ったりすることは出来ない。プライベートのヘリコプター発着場はモスクワ環状道路の外にあり、飛行ルートも環状線を横切ってはならないことになっている。
モスクワ環状道路
MUR (CC BY-SA)ヘリコプタータクシーは、もしあなたがモスクワ州に在住しているか、あるいは滞在しているときに、急に空港やその他の市外の場所、または近くの居住区に行かなければならないときには便利である。しかし、残念ながら、ヘリコプターは、モスクワ市内の移動時間の短縮、または渋滞の回避という問題の解決を助けてくれるものではない。
それでも、エアタクシーサービスを使う必要に迫られた場合には、まずどの会社のタクシーを使うのか決める。エアタクシー会社のほとんどは同じタイプのヘリコプターでのサービスを提供しており、異なるのは料金と場所だけである。ヘリコプターの発着場が郊外にあることを考慮すれば、とにかく最寄りの会社を選ぶのが賢明だ。
ヘリコプターは最低でも、出発の5〜6時間前には予約をした方がよいが、問い合わせた1時間後に乗車させてくれるという会社もある。必要なのは、ルート、利用人数、そして荷物の数量を知らせることである。平均的に、モスクワでサービスを提供しているヘリコプターの定員は3人から10人となっている。
発着場に到着したら、パスポートを提示し、搭乗手続きをしてもらう。この手続きにかかる時間は平均で15分ほど。それが済んだらヘリコプターに乗り、目的地へと向かう。
利用料金は運営会社による。調べてみたところ、もっとも安いもので、ロビンソンR44型ヘリコプター(3人乗り)1機、30000ルーブル(およそ48000円)というものを見つけることができた。しかし、会社側はこの料金設定は条件つきのものだと説明している。費用は、ヘリコプターの型式、乗客の人数、荷物の数量、ルート、指定の日時に利用可能なヘリコプターの所在地(ヘリコプターを別の発着場から移動させる必要が生じる可能性がある)などを考慮した上で算出されるため、固定された料金というものはないのだという。
空飛ぶタクシーはモスクワ環状道路の外でしか機能していないということに加えて、悪天候の日はそれだけで運行中止となる。そうなった場合には、利用者と会社の間で、飛行日時を延期するか、キャンセルするか協議して決める。モスクワの天気は予測不能なものであることを考えれば、1年のどの季節でも、トラブルとなる危険性はある。
さらに荷物についても困難が生じる可能性がある。たとえば、3人乗りのロビンソンR44型ヘリコプターは小さなバッグまたはリュックサックをいくつかしか持ち込むことができない。乗客が2名であれば、スーツケースを1つ乗せることも可能である。
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