もっとも人気のあるロシア製ソーシャルネットワーク

Kira Lisitskaya (Photo: Westend61/Getty Images; VK.com; OK.ru)
 世界で使われている国際的なソーシャルネットワーク以外に、ロシアには国内で作られた人気のサービスがある。中には世界的に有名なものもある。

 平均的なロシアのSNSユーザーたちは、1日に1時間半以上、ソーシャルメディアを利用している。この利用時間は、夏は少し短く、冬は少し長い。これは2023年3月にメディアスコープ社の調査により、明らかになったデータである。

 いくつかの外国のSNSが2022年にロシア国内での活動を中止したり、ブロックされたりして、VPNがないとアクセスできなくなっている中、ロシア国内のソーシャルネットワークのユーザーは年々、増加している。というのも、多くのユーザーたちがロシアのソーシャルネットワークに移行しているからである。

1 - VK (VK.com)

 VKとは、このサービスの元々の名称であるフ・コンタクチェ(In Contactの意)の略。これはロシアでもっとも人気のソーシャルネットワークで、2006年にパヴェル・ドゥロフが、当時、作られたばかりのFacebook*にインスパイアされて立ち上げた。その後2014年にロシアのインターネット企業大手のメイル・ルーが買収し、VKと改称した。

 メディアスコープ社のデータによれば、VKはロシアのあらゆるソーシャルネットワークの中で、その利用者数でも、利用時間でも1位を占めている。ロシアの12歳以上の国民の44%が、1日平均45分VKを利用している。ロシアでの毎月のログイン数は7950万人(外国のユーザーを加えると、1 億170万人)。一方、シミラーウェブのデータによれば、世界の人気サイトの上位25位に入っている。

 個人プロフィールやストーリーズ以外に、多くのグループ、メディア、有名人のプロフィール、行政のコミュニティー、チャットなどもある。

 ソーシャルネットワークには独自の音楽ストリーミングサービス、ビデオホスティング、ゲーム、またさまざまなサービスやミニアプリがある。たとえば、1日の歩数を友達と競うアプリなどがある。またVKにはNFT–トークン売買のためのプラットフォームがある。

 VKの新機能の一つがTikTokに似たショート動画。毎日数千万回、再生されている。ちなみに、VKは86ヶ国語で利用することができる。

2 – Telegram (telegram.org)

 こちらもパヴェル・ドゥロフが作った人気のメッセージ送信アプリ。テレグラムと他のメッセンジャーとの違いは、個人ブログからニュースメディアまでさまざまなテーマでのチャンネルが数十万ある(みなさん、ロシア・ビヨンドのチャンネルはもうフォローしていただいていますか?)。

 チャンネルでは、テキスト、写真、動画つきの投稿が時系列順に表示され、ユーザーのメディアの需要をコントロールし、多くのユーザーを魅きつけようとする「おすすめ」は表示されない。テレグラムの目玉は「グループ」内の動画メッセージ。最近、ドゥロフはテレグラムに、公開性を自由に制限できるストーリーズを作ると発表している。

 テレグラムの利用者数は増加し続けており、現在はロシア人の41%が利用しており、VKにかなり近づきつつある。ロシア人は1日平均39分、このソーシャルメディアを利用している。利用者の中でもっとも多いのが24歳以下の若者とIT業界の人々である。ちなみに、テレグラムは世界の人気メッセンジャーのベスト5に入っている。

3 – オドノクラースニキ(OK.ru)

 フ・コンタクチェよりも半年ほど先駆けて、2006年に作られたロシアで最初のソーシャルネットワーク。より上の世代で人気がある。メディアスコープのデータによれば、ロシア人の18%が、1日平均32分、オドノクラースニキを利用している。

 1ヶ月の利用者数は4千万人の超える。またこのメディアは旧ソ連諸国でも人気がある。オドノクラースニキの特徴は、独自のステッカー、バーチャルプレゼント、ゲームである。なお、「オドノクラースニキ」もVKホールディング傘下である。

4 – ゼン(dzen.ru)

 上記のソーシャルネットワークはショート動画やメッセージに強いが、ゼンは大部分のコンテンツが長い独自のテキストとなっている。とはいえ、もちろん動画や短い写真入りの投稿も公開できる。作者は現金化することができ、コンテンツが人気となれば、広告収入を得ることができる。

 ゼンには旅行家や金融の専門家、作家、心理学者、タロット占星術者、スタイリストなどの個人ブログが多く、またマスコミの公式ページもある。

 ゼンの発表によれば、2022年末時点で、毎月の利用者数は7千万人に達し、活発に更新しているユーザーは1週間あたり10万人とのこと。 主なユーザーは25歳以上。

 ゼンは元々、IT最大手のヤンデクスが開発したものだが、2022年の秋にVKが買収した。なお、シミラーウェブのデータによれば、ゼンは世界の人気サイトランキングで23位を占めている。

5 - RUTUBE

 ロシアにはYouTubeのロシア版、その名もルーチューブがある。かなり以前の2006年に作られたものである。YouTubeはロシアでも制限なく利用でき、現在も大きな人気を誇っているが、ルーチューブは文字通り、現在、改めて人気を獲得している。YouTubeが2022年にロシアのユーザーに対する現金化を停止したのが原因とも言われている。

 今年、ルーチューブの利用者数は36%増加し、2300万人となった(タス通信のデータ)。ルーチューブは25〜34歳を対象としている。30万ほどのチャンネルがあり、ロシアの有名なブロガーやジャーナリストなども運営している。

6 - Yappy

 ソーシャルネットワークYappyは2021年の末に登場したばかり。ユーザーは1ヶ月で1千万人。(タス通信のデータ)。これはTikTokのロシア版とも言えるもので、動画編集ができる。Yappyのオーナーは「ガスプロムメディア」。 

 Yappyにも独自の特徴がある。とりわけ、ユーザーはバーチャルルームで共同コンテンツを撮影し、編集することができる(最大5人まで)。動画の長さは1分に制限されている。

7 - TenСhat

 こちらはLinkedinにインスパイアされたビジネスをメインにしたソーシャルネットワーク。2023年7月のデータによれば、現在250万人が登録している。利用の目的は職探し、入札の検索や求人、取引相手やオークション組織のチェックなどである。それぞれの企業や事業主に対して、評判や財政状況や基にしたAIによるランキングがついている。

それ以外のソーシャルネットワーク

 外国で人気のソーシャルネットワークTikTok、インスタグラム*、Facebook*は今も、VPNサービスを使えばロシアでも利用できる。メディアスコープのデータによれば、ロシア人の27%がTikTokを1日平均65分利用している。一方、禁止されているインスタグラムやFacebook*はそれぞれ、わずか6%(1日平均17分)、2%(6分)となっている。

*ロシアでは「過激組織」として禁止されている米IT大手メタが運営しているメディア

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