ロシアにはさまざまな国の留学生に割り当てられた学費免除の定員がある。それはつまりロシアの好きな大学、好きな都市で無償で学ぶことができるということだ。この定員数はそれぞれの国によって異なるが、全体では年間3万人もの留学生がロシアの大学入学にチャレンジできる!
ファースト・ステップ
この留学生用公式ウェブサイトから、あなたが選んだ大学に直接入学願書を送ることができる。総数741校にも上る入学可能な教育機関の全リストが掲載されており、検索システムにフィルターをかければ、特定の教育プログラムや特定の都市、さらには大学ランキングで候補を絞ることもできる。
アカウントを登録したら、6つの大学を選んでその優先順位を決める(第一志望の大学はリスト最上位に記入し、優先度の低いプランBはリスト最下位に)。そして、パスポート(またはIDカード)のスキャン、高等教育機関の卒業証明書(まだ高等教育機関を卒業していない場合は適当な成績証明書)、必要事項を記入した願書と規定の写真を提出する。すべての書類はロシア語に翻訳した上で、公証または領事認証を受ける必要がある。追加の書類提出を求める大学もあるので、必要書類のリストは大学ごとに確認することを勧める。
また、数は少ないが、指定の自国国家機関にコンタクトを取らなければならない特別な入学手続きのある大学も存在する。たとえば、モスクワ国際関係大学の志願者は自国の外務省とコンタクトを取ることが求められる。しかし、これは稀なケースだ。
次のステップは選考試験となる。その形式は大学によってさまざまだが、大学による個別試験の情報は公式ウェブサイトの個人アカウントで確認することができる。すべての大学がリモートで試験を行っているわけではないので、受験のためにロシアに行かなければならない場合もあるが、一般的にはオンラインで試験および面接を行うか、または自国のロシア大使館やロシア・ハウス(ロシア連邦交流庁の出先機関で対外市民援助と文化交流を担当する)で行うことが多い。そして試験の合否も個人アカウントで受け取ることになる。
ただ以下の点に注意が必要である。それは、試験合格が、その年にあなたが大学のプログラムをスタートできることを必ずしも意味しないということだ。
もしあなたのロシア語能力が不十分であれば、まず入学準備コースを履修しなければならない。主にロシア語を学ぶプログラムで、将来の学問分野の基礎も並行して学ぶことができるものとなっている。加えて、ロシアの文化や歴史を学ぶこともできるだろう。必要十分なロシア語能力をもっている場合は、合格したその年から入学できる。
留学生のための入学準備コースが用意されていない大学もある。その場合は、入学準備コースのある別の大学で履修することになるが、コースを終えれば、最初に選んだ大学で勉強を始めることができる。ちなみに、もし入学準備コース修了後のロシア語試験に合格できなければ、奨学金の受給資格を失ってしまう。ロシア留学を続けることはできるが、学費免除はされない。
一般的な入学願書の出願期間は2月末までとなっている。しかし、あなたが出願する年の締め切りを確認するのを忘れないように。その年によっても、国によっても変わる可能性があるからだ。
ロシアに入国するにはビザが必要となる。最初に受け取るビザの有効期間はおそらく1ヶ月となるが、その後続けて1年ビザの申請ができるようになる。大学側は教育のみ無償提供するので、移動にかかる経費は留学生自身が負担することになる。
以上これらの手続きは複雑なものではないが、もっと簡単にすることもできる。自分で情報を探してすべての必要書類を揃える代わりに、自国のロシア大使館またはロシア・ハウスに問い合わせることができる。申請手続きをサポートしてくれるし、重要な情報も提供してくれるだろう。
ロシアでの生活は?
ロシアのすべての学費免除学生に、奨学金の他に月々一定の金額が生活補助として支給される。正確な金額は大学によって異なるが、一般的には月に約20米ドルほどだ。学業成績にかかわらず支給されるもので、また受給のためにしなければならないことは特になく、必要なのはミールカード(ロシアの決済システムを利用したクレジットカードやデビットカード)を作るだけだ。ふつう、ミールカードの申請は学部事務局が担当しており、銀行から権限を委任されているので、必要な書類にサインをするだけで済む。
課外活動、特定の研究・調査活動、スポーツ活動などに参加することで、月々の支給額を加算することもできる。また、2020年にロシア下院で留学生の労働を認める法律が可決され、外国人学生もロシアで働くことができるようになった。留学生は、自分が学生であることを証明する書類を提出するだけでよい(ふつう、学部事務局でこの書類を申請することができる)。
また、留学生には優先的に学生寮が割り当てられる。無料ではないものの、大変安価なもので、月々の支給額で十分賄える。
アパートを借りることも可能だが、学生寮にしてもアパートにしても、一時居住登録をする必要があるのは変わらない。学生寮では大学側が手続きをするが、アパートの場合は貸主に問い合わせる必要がある。