母親資本(マタニティ・キャピタル)
母親資本は、新生児が誕生した家庭、および養子を迎えた家庭を対象に補助金を支給するロシア政府の公的支援制度だ。現在、補助金の支給額は一人目の子供に対して58万7000ルーブル(7400米ドル)、二人目に対しては77万5600ルーブル(9800米ドル)となっている。
この支援制度の基本的な受給対象はロシア人家庭だが、配偶者の一方が外国人である家庭もその対象となる。母親とその子供の国籍が受給資格の基本要件であり、それぞれロシア国籍を持っている必要がある。
父親の国籍は問われないので、夫が外国籍の国際結婚家庭もこの支援制度の対象となる。また、婚姻時共に外国籍で、後にロシア国籍を取得した夫婦の場合、たとえ子供が生まれたときに彼らにロシア国籍がなかったとしても、母親資本制度の受給資格を得ることができる。
例外的なケースでは、外国籍男性配偶者自身も母親資本の受給者となることがある。これは、子供のロシア国籍の母親が死亡した場合、母親による子供への犯罪行為が認められた場合、または裁判所によって母親が親権を剥奪された場合、などがある。
出産・育児支援
外国市民も、ロシアの居住許可を持っている場合、国家によるいくつかの社会保障給付を受けることができる。
これには無料の医療サービスも含まれるが、それだけではない。
ロシアの居住許可を持つ女性外国市民には以下のような社会保障給付がある:
総支給額はさまざまな条件によって異なってくるが、上記の給付金を合計すると、50万ルーブル(約7600ドル)以上となる。
税額控除
税額控除は、ロシアにおける税法上の居住者ならば国籍を問わず受けることができる。すなわち、1年のうち最低183日間合法的にロシアに居住し、合法的な課税所得がある外国市民はこのロシア政府による支援策を受けることができる。
また、ロシアでの不動産(建物)や土地(住宅建設目的)の売買、納税者本人およびその子供のロシア政府認定教育機関への支払い、医療機関への支払い、特定の生命保険への定期的な支払いや年金基金への任意の追加支払い、などにも税額控除が適用される。
また、個人投資口座(特定のタイプの投資口座で、証券口座とは区別される)を通じてロシア株式市場において投資による所得がある居住者、あるいは、信用取引証券を少なくとも3年間所有した後に売却した居住者(この場合は口座の種類に関係なく)も税額控除を申請することができる。
退職手当・年金
ロシア社会保険基金には退職手当と数種類の年金がある。標準的な定年退職金、公的年金、障害者年金などだ。そして特定のカテゴリーの人々が対象となる年金もあり、未成年者、高齢被扶養者、成年被後見人などが対象で、彼らが両親や世話人の死亡等によって収入源を失った場合に支給される。
ロシアの居住許可を持つ外国市民は、退職手当および上記の全ての種類の年金の受給資格がある。ただし、居住許可の取得以外にも特定の条件を満たしている必要がある。
たとえば、定年退職金を受給したい外国市民は、ロシアにおいて最低でも15年間の公的に記録される労働経験を持ち、毎年再計算される最低年金係数に達していなければならない。また、公的年金受給者はロシアに少なくとも15年間連続して居住している必要があり、障害者年金の申請者はロシア政府発行の補助書類を提出する必要がある。