『レッドブル』
Walter Hill/TriStar Pictures, 1988ロシア人という設定の登場人物が出てきてまず思うのがこれである。恐ろしいアクセント、そして映画の制作者が想像するロシア語の響きですぐにそれと分かる。
「マーベル映画では本当にイライラします。何億という予算があるのだから、ちゃんとしたロシア人俳優を雇うとか、せめて言語指導者を用意するとかできるはず。本当に手抜きだと思います」と書いているのはczaremanuelさん。
一方、JenniferOrTrissさんは、「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」を観ているのですが、本当に最悪なことに、ロシア人役の話し方がちっとも本物らしくないんです。毎回、何かロシア語で話すたびに、本当にすべての言葉のアクセントが間違っていて、まったく話の内容が理解できません」と書いている。
またSomeHomestuckOrOtherさんは、「ロシア人は必ず悪者に描かれていて、我慢できません。しかも多くの映画でロシア人を演じる俳優はロシア語がうまく話せず、アクセントが酷かったり、発音の間違いがあったり、違う場所に力点があったりします。たとえば、アメリカのスーパーヒーロー映画のこのクリップなんて、字幕がなければ、登場人物が何を言っているのかほとんど分かりません。
『スナッチ』
Guy Ritchie/Columbia Pictures, 2000「ボリス、なぜいつもボリスなの?」
ロシア人男性といえば、その名前は必ずボリスである。この名前は、ロシアの男性の名前の中でももっとも人気のある名前ではない。「さらに最悪なのは、名前ですらアクセントが間違っていること。ボリスは『ボーリス』ではなくて、『ボリース』なんです」。
もしこれがボリスでない場合は、ほとんどの場合、ウラジーミル、イワン、あるいはアレクサンドルである。そして、ウラジーミルという名前を省略する場合は「ヴラード」になる(本来、ヴラードはまったく別の名前ウラジスラフの省略形である)が、そんなことを気にする人はいないようだ。
「後は、必ずドミトリーという男性が登場します」と書いているのはEntire-Guardさん。
『ボーン・アイデンティティー』
Doug Liman/Kennedy, Marshall Company, 2002キリル文字で書いておけばなんでもOK。多くの人が今でも、あの大失敗例を覚えている。ジェイソン・ボーンのロシアのパスポートには、ロシア語でАщьф Лштшфумと書かれているのである。「おそらく、これは、英語のキーボードで打つ文字を、単にロシア語のキーボードで打ったのだろう」とreptiloidrulerさんは指摘している。
そう、その通りなのである。Ащьф Лштшфумというキリル文字の羅列には何の意味もない。ロシア語を勉強したことがない人には、なんとなく正しい感じに映るかもしれないが、少しでもロシア語のアルファベットを知っている人なら、これを読むと、とても奇妙な文字列であることが分かる。そしてこのような事象はしょっちゅう目にすることができる。存在しないノヴォショイルスクという街が出てくる「インデペンデンス・デイ」(1996年)、始まって45分の場面で、まったく何の意味もない文字の羅列がスクリーンに映しだされるアクションコメディー「レッド」(2010年)がその良い例である。
『イースタン・プロミス』
David Cronenberg/BBC Films, 2007「テクノ音楽のハードベースがドンドン鳴って、青と赤と紫のネオンが光るナイトクラブのシーンを忘れてない?」と書いているのはcaptain_finneganさん。
ロシアのハードベースとは何かについてはこちらで詳しく読んでいただけるが、ハリウッドでも、おそらくこれについてはよく知られているのだろう。ナイトクラブは、ロシアの悪役(たいていの場合、ロシアマフィアのリーダー)を登場させるのにぴったりなロケーションなのである。YannislittlePEEPEEさんは「オーナーは必ず犯罪組織のボスで、入口から、犯罪ビジネスを行なっている裏のオフィス(情報提供者を殴ったり、お金を手渡したり、商品をチェックしていたりする)に入っていく長いシーンがあるのです」と指摘している。
クラブの代わりに、裸の男たちがいるサウナもよく使われる。そしてその男たちは生まれる前からタバコを吸っていたかのような声で話すのである。
『TENET テネット』
Christopher Nolan/Warner Bros. Pictures, 2020「あと、とてもよい格好をしたロシアの悪役もいます」とErwinRommel4419さんは書いている。
ハリウッドでは、ロシア人は古典的な悪役として描かれていることが多い。善良なロシア人の役など、数えるほどしかいない。
あるユーザーはこう書いている。「映画のプロットはまったく適当で、ロシアからやってきたということ以外に悪役になる理由などないような悪役(クリストファー・ノーランの「TENET」のアンドレイ・セイター)が出てくるんです」
「男性は皆、背が低く、丸刈りで、ゴールドのネックレスをしている。そして女性はみんな背が高く、セクシー」と書いているのはmexus37さん。しかも、女性が悪者になるときには、99%がスパイである。
『アベンジャーズ』
Joseph Whedon/Marvel Studios, 2012ロシア人女性はそのすべてがスパイを含む運命的な登場人物である。目つきが鋭く、体制に忠実で、動揺するのは、ある条件においてのみである。
「孤児として育ったセクシーなロシアの女スパイは冷徹な殺人犯で、これまで何度も何度もセックスを武器にしてきたのだが、その彼女がセクシーなアメリカのスパイとセックスした途端、彼女は反ロシア的な人間となり、彼を殺すことなんてできない!となるのです」とdemogorgon_king さん。
意味のないことであるが、ハリウッド映画に登場するすべてのロシアの女性スパイは誰も皆、そのように行動するのである。
『ボーン・スプレマシー』
Paul Greengrass/Universal Pictures, 2004みなさんは、映画でどこかの国が描かれるとき、たとえばメキシコなら黄色あるいはセピア色のフィルターを通して、オーストラリアは色鮮やかに、そして日本は、ネオンサインの夜という風に、固定のイメージがあるのに気がついただろうか。ではロシアはどのように描かれているのか。ロシアを描くのにはこれとは全く違うフィルターが使われている。
「モスクワは海底に沈んだ難破船のような色だというルールを一体誰が作ったのか」とsam__izdatさんは問いかけている。
「ロシアは青、ときにグレースケールの色合い」(amandaxzeeさん)。
「ほとんどのスーパーヒーロー映画に出てくるロシアは、大体、青いフィルターをかけて、画面が少し霧がかったようにし、曇りの日に撮影されています」(PuzzleheadedMouse9 さん)。
おそらく、これは映画制作者がロシアの寒い気候(あるいはそのようなステレオタイプ)を伝えようとしているためだろう。しかし、まるで「今も共産主義のソ連」のようなイメージになっているのである。ハリウッド映画の「グレーさ」でロシアと比較できるのは、イギリスくらいである。
『ヘルボーイ』
Guillermo del Toro/Columbia Pictures, 2004「アメリカの映画では、モスクワは青いだけでなく、いつも雪が降っているというナンセンス」と書いているのはPhantom_61 さん。
ロシアのどこかではいつも雪が降っているというのは本当かもしれない(ロシアが領有する北極圏はおよそ300万平方キロ、つまり国土全体の18%なのだから)。しかし、中央ロシア、具体的にいえばモスクワはこれには当てはまらない。
しかしながら、bararumbさんが言うように、「1年中、雪が降ってます。アメリカでは夏なのに、ロシアに行った途端、いきなり雪が振り、凍てつくような寒さになるのです」。
『ラスト・ツァーリ: ロマノフ家の終焉 』
Adrian J. McDowall/Netflix, 2019「アメリカのスリラーでモスクワが出てくると必ず最初に映しだされるのは、クレムリン(ときには閲兵付き)、雪、まじめなロシア音楽。しかも季節に関係なく」と書いているのはChayDさん。
クレムリンとレーニン廟というお決まりの映像は、ネットフリックスで配信されている「ラスト・ツァーリ ロマノフ家の終焉」では悪い冗談になった。1905年のクレムリンを映すのに、レーニン廟(1924年、レーニンの死後すぐに作られた最初の木造の廟)が消されていなかったのである。
まだまだある。あるユーザーは指摘している。「ロシア人は何もせずにウォトカを飲み、ロシアでは誰も言わない乾杯の挨拶、『健康のために』と言うのです」。
そして、もちろん、アメリカ映画の中のロシア人は互いを「タヴァーリシチ(同志)」と呼んでいる。なにしろ、彼らのイメージの中のロシア人は全員、共産主義に忠実なのだから。
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