(ロシア・ビヨンドの読者が選ぶ)ロシアの主要なおいしい名物10選

Andrey Rykov/Getty Images
 これは単なる伝統的な食べ物ではなく、その地域の「食の名刺代わり」のようなものである。

 わたしたちは、ロシア・ビヨンドのロシア語のコミュニティで、読者の皆さんに、ロシアの地域のカルト的な食べ物は何かという質問を投げかけた。回答を基にして作られたリストはかなり長いものになったが、ここではその中からトップ10を紹介しよう。

1. アディゲのチーズ

 牛乳で作られる柔らかいフレッシュタイプ(熟成は10日ほど)のアディゲ・チーズは、1980年に開催されたオリンピックを機に、世界中に知られることとなった。このチーズは、他でもないこのオリンピックで、外国からやってきた来訪者たちに紹介され、大量生産が開始されたのである。

 チーズの生まれ故郷であるアディゲでは、「マテクアエ」(バスケットのチーズ)と呼ばれている。このチーズを使った調理法は枚挙にいとまがない。燻製にしたり、焼いたり、炒めたり・・・各家庭に最高においしい独自のレシピの秘密がある。

2. バシキールの蜂蜜

 バシキールは古代から養蜂の地として有名であり、今でもバシキールの蜂蜜はロシアでもっともおいしいとされている。森の養蜂技術は世代から世代へと受け継がれ、今でも、現代の養蜂家たちはこの物産のお祭りを催している。すべてはこの産業の主役である、特別な野生のバシキール蜂のおかげである。

3. ブリャートのブウズ 

 挽肉と玉ねぎで作る餡を生地で包んだこのブリャートの料理は、ブウズまたはポーズと呼ばれている。このシベリアの伝統料理はこの地域で何世紀にもわたって食されてきた。ブウズはユルタ(ゲル=遊牧民の移動式住居)を象徴したものである。というのもブリャート人たちは何世紀にもわたって、遊牧してきた民だからである。このブウズは、特別な蒸し器を使って調理される。

4. ヴォログダのバター

 北にあるヴォログダといえば、レース編みとおいしいバターの街である。最初のバター工場がヴォログダ県に作られたのは1871年のことである。ふわっと甘味のある柔らかいバターは特殊な技術で製造されている。生クリームを高温で泡立てることにより、ナッツのような風味が出る。

 しかしなぜヴォログダなのだろうか?ヴォログダ州はいつの時代も氾濫原の草地と植物の種類の多様さで知られており、また夏が適度な暑さであることから、牛たちはいつでも最大限に新鮮な草を食み、それが牛乳、生クリーム、そしてバターの味に影響を与えているのである。 

5. カレリアのカリートカ

 ライ麦粉のピローグ(パイ)は何世紀にもわたって、カレリアの農民たちに食されてきたものである。元々はお米、じゃがいも、きのこのスタッフィングが詰められていたが、のちに甘い餡を詰めたものがより愛されるようになった。

 カレリアでこのパイは「婿のためのパイ」と呼ばれている。それは、伝統的に、花嫁の母親が娘の未来の夫のために焼いてきたものだからである。そしてこのパイは、今では愛と家庭の温もりのシンボルとなっている。またカリートカはこの地を訪れたすべての観光客が必ず食べるカレリアの主要なご馳走である。

6. コロムナのパスチラ

 ソ連時代、パスチラと言えば、卵白と砂糖で作られた白い棒状のもの(ゼフィールというマシュマロのようなお菓子に似ている)が一般的なものであった。しかし21世紀初頭、コロムナで、革命後に忘れ去られてしまった本物の伝統産業が復活した。それは酸味のあるリンゴ、アントーノフカと蜂蜜または砂糖で作るリンゴのパスチラ作りである。そしてこのパスチラは、今では本物の食のブランド(そして素晴らしいお土産品)となっている。

7. オセチアのピローグ(パイ)

 オセチアでは、ピローグは聖なる料理である。伝統的に、食卓には、必ずパイを3つ並べなければならないとされている。とはいえ、もちろん観光客は例外で、1つだけ食べてもよいと言われる。もっとも一般的なスタッフィングは肉、キャベツ、ビーツ、野生ネギ、フレッシュなオセチアチーズである。

 モスクワにも、オセチアのピローグをオーダーできるデリバリーの店がたくさんあるが、地元の人々は、それらは本物には似ても似つかない単なるみじめな偽物だと酷評している。

8. タタールのチャクチャク

 おそらくこれはタタールスタンのもっとも有名な食べ物だろう。しかしこのお菓子はバシキール、南シベリアでもとても愛されている。いや、実際、ロシア全土で大きな人気を誇っているといえる。作り方はシンプルで、小さな生地を油で揚げ、冷ました後、蜂蜜のシロップにからめるだけである。文字通り、食べたあとには指をなめたくなるほど甘いお菓子の山が出来上がる。

9. トゥーラのプリャーニク

 プリャーニク(糖蜜菓子)はロシアの伝統的なお菓子で、多くの地域にそれぞれの作り方がある。しかし、歴史的に、トゥーラのプリャーニクがロシアでもっとも知られるものとなった。トゥーラのプリャーニクは17世紀にはすでに有名であったが、1889年にパリの万国博覧会でグランプリを受賞し、世界中にその名を轟かせるようになった。

 ソ連時代に、古いレシピで作られたプリャーニクが大量生産されるようになった。知らないという方のために記しておくと、プリャーニクとは独特の生地で作られた、蜂蜜とスパイスを基にした小麦粉菓子である。形は薄い四角形で、表面に砂糖のアイシングが施されていて、中にはリンゴまたはベリーのペースト、あるいは練乳が詰められている。

10. ヤルタの玉ねぎ

 この甘い玉ねぎはロシア全土でよく知られている。平たくて赤紫色をした玉ねぎは、縦にたくさんまとめて吊るされていることが多い。こうすることにより、玉ねぎ一つ一つに風を通すことができ、長期保存ができるのである。

 この玉ねぎは生で食する。一番おいしいのが「クリミアのばら」というサラダで、玉ねぎを薄切りにして、甘いトマトと合わせ、未精製の香油のドレッシングをかけて作るものである。

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