「ホロジェッツ」の作り方完全ガイド(レシピ)

ロシア料理
ユリヤ・ムリノ
 ロシアの伝統料理「ホロジェッツ」は、寒い日に空腹を満たしてくれるだけでなく、健康を増進してくれる。

 何世紀にもわたり、ホロジェッツ(ゼリー寄せ)は大衆のための料理だと考えられてきた。というのも、この一品には足、蹄、尾、耳など、廃棄される部位が含まれているからだ。裕福な人々の食卓の残りものが、貧しい人々の食事に変わったのである。しかしながら、実はピョートル大帝もこの料理が大好きで、とりわけザワークラウトとピクルスと一緒に食べるのがお気に入りだったと言われている。

 「ホロジェッツ」の具体的な作り方が初めて言及されているのは、1816年に出版されたワシリー・レフシンの料理本である。ここでレフシンは牛の足と耳を使ったホロジェツの作り方を紹介している。

 ホロジェッツは、ソ連時代から現在に至るまで、新年料理、そしてその他の冬の休日のご馳走のテーブルを彩る主要な一品と考えられているが、冷蔵庫の出現に伴い、今では1年のどの時期にでも作ることができる。

 多くの外国人にとって、この料理はいささか奇妙なものであるが、本当においしくて栄養満点であること以外にも、この料理を試すべき理由はたくさんある。伝統的なホロジェッツはビタミンが豊富であり、頻繁に摂取すれば、肌や関節の状態を改善するコラーゲンを十分に摂ることができる。またこの料理は免疫力をアップし、視力を回復してくれる。つまりこれは間違いなく冬に必要なものなのである。

1. コラーゲンの源を探す

 クラシカルなホロジェッツは牛の頭部、尾、足で作られる。しかし、足だけを使って作ることもできる。最近では豚の尾や耳、足を使って作られることが多い。ゲル化させるのに大切な要素は軟骨や関節、腱にも含まれている。

 肉には脂肪があまり含まれていない方がよい。というのも、脂肪は凝固を阻害するものとなるからである。加えて、余分な脂肪分があると、ホロジェッツの表面が白くなってしまう。足と蹄、そしてきれいな赤身肉のバランスがうまく取れていることが望ましい。

2. 調理時間必要なのは忍耐

 コラーゲンを抽出するためには、骨と軟骨が柔らかくなるまで煮る必要がある。そこでこの料理の調理時間は平均で6〜7時間となっている。肉は文字通り、骨からほろりとはずれ、関節や皮、軟骨は透明になる。そうなって初めて、ブロスがゼリーのような物質で満たされるのである。肉を煮るときは、水分が蒸発しないよう、弱火にして、蓋をすることが大切である。

3. 見栄えも重要

 豚足をスーパーではなく、畜産農家から買った場合は、冷水に数時間浸しておく必要があるだろう。こうすることで、不要な汚れや余分なものを皮から剥がすことができる。その後、牛足を水できれいに洗い流すこと。

 次に、ホロジェッツを透明にするには、沸騰させた後、最初のブロスを捨てなければならない。これで固まった血と余分な脂肪を取り除くことができる。また鍋の中にも細かい血の塊が残っていることがあるので、鍋全体をきれいに洗う必要がある。

4. 水の量はバランスが大事

 ブロスの量は多すぎず、また少なすぎないようにすることが重要である。理想的としては、肉の量の2倍の水を使うこと。肉に2センチかぶるくらいの水を入れなければならない。

5. スパイスと塩は正しい頃合いに投入する

 ホロジェッツの味は追加の材料で決まる。玉ねぎ、ニンニク、にんじん、その他の根菜は肉が出来上がる1時間前に加えること。つまりこれは調理し始めてから5〜6時間後ということになる。ローリエの葉とブラックペッパーは出来上がる30分前に入れる。

 もう一つ、ホロジェッツに重要な風味を与えるのは生のニンニクである。これは肉を型に入れる段階で加える。ニンニクは均等にまんべんなくいきわたるよう、ガーリックプレスで潰すこと。

6. 塩を入れすぎない

 塩の量が正しいかどうかを見極めるのには、肉ができるまで待つ必要がある。すぐに塩を加えると、調理の過程で水が蒸発し、ブロスの塩の濃度が高くなりすぎてしまう。この失敗を避けるため、塩はブロスに野菜を投入する最後の段階で入れること。

7. 追加の注意点 

 ブロスを完璧なものにするためには、ブロスを濾すこと。最高の仕上がりにするには、漉し器だけでなく、ガーゼかふきんを何枚か重ねたものを使うこと。

8. 好みの問題 

 最終的にこの料理にどの肉が合うかはそれぞれが決める。お好み次第で、骨から丁寧に取り外した赤みのほぐした肉だけ使うこともできる。

 この場合には、皮や柔らかい軟骨を大量に無駄にすることになるため、皮は小さく刻んで肉に混ぜるとよい。そうすることでより柔らかくてジューシーなホロジェッツができる。 

材料:

作り方:

1. 肉はきれいに洗って、深鍋に入れる。肉の上2センチまで水を注ぐ。

2. 沸騰させる。灰汁はここで取り始める。

3. 肉を取り出す。

4. 最初のブロスを捨て、鍋をきれいに洗う。

5. もう一度、鍋に肉を戻し、肉の上2センチまで水を注ぐ(ここでは3リットル使用した)。蓋をして、沸騰したら、火を弱め、弱火で5〜6時間煮る。水が吹きこぼれないように蓋をしたままにする。これで肉が柔らかくなる。

6. 5時間経ったら、野菜を用意し、ブロスに入れる。半時間したら、塩、コショウ、ローリエの葉を加える。弱火で煮る。

7. ホロジェッツを冷ます。室温まで冷めるとブロスが固まってくるので、表面の余分な脂肪を取り除く。それからホロジェッツを再び液体に戻すために少し温め直す(熱くはしない)。

8. 野菜を取り除く。

9. 肉を取り出す。

10. 小さくほぐす。

11. ここでは皮と柔らかい軟骨を使用する。

12. ブロスをチーズクロスで濾す。

13. お好きな型をいくつか用意する。

14. 型に肉を入れる。

15. つぶしたニンニクをまんべんなく広げる。

16. 上からブロスを注ぐ。

17. 彩りを豊かにするため、茹でたにんじんを飾ってもよい。

18. ここでは一つの型に皮だけを入れてみる。

19. 2時間冷蔵庫で冷やしたら、ホロジェッツの出来上がり。固まるのにもっと時間がかかる場合があるので、一晩置いた方がよい。

20. ホースラディッシュまたはマスタード、黒パン、ピクルスと一緒にいただく。

21. おもてなし用に、1人分ずつ小分けにすることもできる。

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