歌にもなり、ソ連の鉄道での忘れがたい思い出を呼び起こすこのおいしい壺焼きダンプリングは、今でもどこがそのルーツなのかについて熱い議論がなされている。その物議を醸している問題はさておいて、この料理の歴史を紐解いてみたい。
「アムール」と名付けられているところから、この料理は極東にある偉大なるアムール川に関連があることが分かるが、このダンプリングのルーツは謎に包まれている。ソ連時代、このダンプリングは、極東のさまざまなレストランで、「エルマーク(シベリアの征服者の名前)」、「セントラル(ハバロフスクのレストランの名前)」、「ビロビジャン(ユダヤ自治州の州都の名前)」、「イルティシ(ロシア、カザフスタン、中国を流れるもう一つの川の名前)」など異なる名前で出されていた。
魅力的なお話はわたしたちをアムール州のベロゴルスクの街へと導く。それは、1960年代初頭に、地元の鉄道のレストランで「アムールダンプリング」が登場した場所である。地元の人々の話によれば、シェフのリュボフィ・ヴォヴチョクが、残った食材を使った料理コンペティションでこのダンプリングを作った。そのダンプリングの豊かな味わいが審査員に感銘を与え、このときの試食セットが、レストランのメニューに加えられることになった。そして、その後、同じようなダンプリングがシベリア鉄道の多くの食堂で登場するようになった。
このダンプリングはロシア人にとても愛され、歌にも歌われた。ハバロフスク出身の吟遊詩人のアレクサンドル・コヴァリョフは、13皿の食欲をそそるダンプリングを表現した13番まである「セントラル・ダンプリング」という曲を書いた。
かつては、シダやコケモモといった極東のおいしい食材が使われていたが、現在はこうした食品は加えない。牛肉のレバーを詰め、壺に入れてトルティーヤで蓋をして作るジューシーなダンプリングは、一度食べれば忘れられない一品である。
1. 生地を作る。ボウルにお湯と小麦粉を入れ、塩と植物油を加える。なめらかになるまでこねる。こね終わったら、冷蔵庫に入れ、数時間休ませる。
2. ダンプリングのフィリング用の材料をすべて混ぜる。
3. ダンプリングを作る。小麦粉で打ち粉した作業台の上で、めん棒を使って生地を薄くのばす。コップを使って、同じ大きさに丸く型抜きをする。それぞれの生地を手でのばし、真ん中にフィリングを置き、端をあわせて留める。時間を短縮したければダンプリングメーカーを使う。
4. ダンプリングを茹でる。ここでは半茹でにするので、浮き上がってきてから3分茹でて、引き上げる。
5. 壺焼きの中身を作る。牛肉のレバーは小さく切り、少量の植物油で炒める。
6. 玉ねぎを切り、別のフライパンでバターと一緒に炒める。透明になり、少し色づいたら火から下ろす。
7. 素焼きの壺にレバーを入れ、炒めた玉ねぎを乗せ、その上に短めに茹でたダンプリングを入れる。
8. ソースを作る。ボウルにサワークリームと小麦粉を入れ、均等に混ぜ合わせる。ビーフブイヨンを注ぎ、トマトペーストを加え、なめらかでクリーミーなソースにする。
9. ソースを材料の上からかける。具がソースに均等に覆われるようにする。
10. トルティーヤで蓋をする。トルティーヤは小麦粉、卵、水をボウルに入れ、のばして作る。トルティーヤで壺を覆ったら、溶き卵を塗る。
11. オーブンを160度に予熱し、蓋をした壺を入れ、トルティーヤにきれいな焼き色がつくまで焼く。
12. 召し上がれ!
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