ケフィールとは、牛乳に生きたバクテリアを加えてつくられた酸味のある乳飲料である。ケフィールの原産地は北カフカス地方、エルブルス山のあたりであると考えられている。ケフィール文化はカフカスの高地民族に貴重なものとして守られ、門外不出なものとされた。
ケフィールの大量生産がロシアで始まったのは、20世紀初めに酪農家ニコライ・ブランドフが全ロシア医師協会の要請によって尽力したおかげである。1906年にブランドフの元で働いていたイリーナ・サハロワがカフカス地方に行き、ケフィールの作り方を学んだ。
そこでこんなエピソードがある。それは、彼女がそこの裕福な地主の花嫁にされるべく拉致されたというものである。このような「結婚」はこの地方の伝統でもあったが、この問題を円満に解決しようと、彼女は代償としてケフィールをつくるための細菌についての情報を求めたというストーリーだ。しかし、別の説では、カフカスの地主はイリーナに誠意を見せるため、拉致することではなくて、レシピを贈ることにしたと言う。
ソ連時代になると、ケフィールは広く生産されるようになり、ロシア全土で受け入れられた。ソ連国民は誰でも薄緑色のキャップの特徴的な半リットル入りガラス瓶に詰められてケフィールが売られていたのを知っていた。ロシア人は今でもケフィールには幅広い病気に効く成分が含まれていて、健康を保つにはとても大事なものだと信じている。
ケフィールは、他の発酵乳製品と同じように、善玉菌の効果がある。人々がケフィールを飲むのは、そのマイルドな風味のためではなく、腸の健康維持もしくは改善のためである。
家でケフィールを作るなら、牛乳と乳酸菌が含まれたサワークリームで簡単に作ることができる。この乳酸菌を低温殺菌された牛乳に入れれば、ケフィールに似た飲み物ができる。新鮮で質のよいサワークリームを使えば、素晴らしいものが出来上がる!
1. 牛乳を火にかけ、泡が出るまで沸騰させる。
2. 完全に冷ます。
3. ザルで濾して、瓶に入れる。
4. サワークリームを加える。サワークリームの量が多ければ多いほど、ケフィールは濃厚になる。
5. 瓶をしっかりと閉め、室温で24時間置く。生きた乳酸菌が発酵し始める。
6. 冷蔵庫に入れる。数時間でケフィールの出来上がり。
7. 召し上がれ!
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