クラヴェツパイはヴォルガ川中流域にあるロシアのマリ・エル共和国の絶品パイである。
クラヴェツあるいはクィリャヴェツの名前の由来は、別のパイ、カラヴァエツだ。カラヴァイと同じように、円い形をしている。このパイは祝日、結婚式につくられ、親しい客人にふるまわれる。
中に入れられる餡は季節によって変わる。夏には子羊の肉、冬には豚肉か牛肉、秋には家禽肉が使われる。猟師はウサギの肉でクラヴェツを焼く。時には異なる種類の肉を混ぜ合わせて入れられることもある。家禽の骨付き肉が使われることもある。
このパイは生地をイーストを使って発酵させずにつくる。生地は2つに分けられ、麺棒で延ばされる。大きいほうの生地は耐熱皿にのせて深めの平鍋に入れる。餡には肉の他にキビなどの穀物のひき割り、タマネギ、ローリエを加える。穀物のひき割りを入れると、パイがよりソーシーになるだけでなく、肉汁が浸みておいしいのだ。
詰め物は順に層になっている。生地を小さく丸くして上にのせて周りをしっかりとくっつける。生地が鍋の形となり、その中で肉は長時間調理されるので鮮度が保たれ、肉汁が閉じ込める。
クラヴェツの大きな特徴は、弱火で時間をかけて調理されること。オーブンで3〜4時間焼くと、肉、タマネギ、ひきわりは柔らかく、香り豊かになる。昔はキャベツの葉で生地を覆ったものだ。そうすれば、焦げるのを防ぐことができる。オーブンでパイを焼いているうちに生地はカリッとなるが、崩れることはない。
焼きあがると、パイの頂部を切り取って、切り分ける。このパイはフォークで食べるが、切り取った頂部もいただく。
結婚パーティーでは、新郎の介添人がクラヴェツを7等分に切り分けるのが習慣だが、これはそんなに簡単なことではない。
1. ひきわりは洗って、塩を加えた水で5分煮る。ザルで水を切り、冷水で洗い、ペーパータオルの上で水気をとる。
2.生地の材料をすべてプロセッサーに入れ、なめらかになるまで混ぜる。
3. 軽く打粉をしたテーブルに生地を置いたら、丸め、ラップに包んで20分ほど置いておく。
4. 肉は小さく切る。脂身が多ければ多いほど、フィリングはジューシーになる。中には、皮を入れたり、骨つきの肉を使うレシピもある。パイはフォークを使って食べるので骨がついていても問題ない。
5. タマネギはみじん切りにする。
6.丸めた生地を2つに分ける。
7. 大きい方は5ミリの厚さにのばす。
8. 生地を型に広げる。ここでは型に油を塗っていないが、塗ってもよい。生地の両端は縁からはみ出すようにする。
9. ひきわりを生地の上に置く。
10. タマネギを加え、塩で味を調える。
11. 次に肉を置き、お好みで塩をふる。
12. 最後にもう一度タマネギの層を作り、コショウをふり、ローリエを置く。
13. 小さい方の生地をのばす。
14. 小さい方の生地で上から覆う。
15. 端を留める。
16. ここでは古いやり方で、キャベツの葉を使い、パイを覆うことにする。
17. キャベツはすぐに乾燥し、パイに跡をつけることができる。ここでは代わりにアルミホイルを使った。
20分したら、200℃に予熱したオーブンに入れる。
温度を150℃に下げ、3時間から3時間半焼く。
18. 10分ほどして、まだ焼き上がる前に、ホイルを取り出し、表面にきれいな焼き色をつける。
19. 粗熱をとる。
20. 伝統に従い、上部を切り落とす。
肉は柔らかく、タマネギも柔らかくて半透明、ひきわりも調理され、しっとりしている。熱々でパイを食べる。どうぞ召し上がれ!
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