「クラヴェツ」のつくり方-ロシアのマリ・エル共和国の心のこもったお祝いパイ(レシピ)

Yulia Mulino
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 柔らかくてジューシーな肉を手間をかけずに楽しみたいなら、ヨーロッパ平原の最東部でお祝いの席でつくられるパイを試してみよう。

 クラヴェツパイはヴォルガ川中流域にあるロシアのマリ・エル共和国の絶品パイである。

 クラヴェツあるいはクィリャヴェツの名前の由来は、別のパイ、カラヴァエツだ。カラヴァイと同じように、円い形をしている。このパイは祝日、結婚式につくられ、親しい客人にふるまわれる。

 中に入れられる餡は季節によって変わる。夏には子羊の肉、冬には豚肉か牛肉、秋には家禽肉が使われる。猟師はウサギの肉でクラヴェツを焼く。時には異なる種類の肉を混ぜ合わせて入れられることもある。家禽の骨付き肉が使われることもある。

 このパイは生地をイーストを使って発酵させずにつくる。生地は2つに分けられ、麺棒で延ばされる。大きいほうの生地は耐熱皿にのせて深めの平鍋に入れる。餡には肉の他にキビなどの穀物のひき割り、タマネギ、ローリエを加える。穀物のひき割りを入れると、パイがよりソーシーになるだけでなく、肉汁が浸みておいしいのだ。

 詰め物は順に層になっている。生地を小さく丸くして上にのせて周りをしっかりとくっつける。生地が鍋の形となり、その中で肉は長時間調理されるので鮮度が保たれ、肉汁が閉じ込める。

 クラヴェツの大きな特徴は、弱火で時間をかけて調理されること。オーブンで3〜4時間焼くと、肉、タマネギ、ひきわりは柔らかく、香り豊かになる。昔はキャベツの葉で生地を覆ったものだ。そうすれば、焦げるのを防ぐことができる。オーブンでパイを焼いているうちに生地はカリッとなるが、崩れることはない。

 焼きあがると、パイの頂部を切り取って、切り分ける。このパイはフォークで食べるが、切り取った頂部もいただく。

 結婚パーティーでは、新郎の介添人がクラヴェツを7等分に切り分けるのが習慣だが、これはそんなに簡単なことではない。

材料(28センチ型1台、4〜6人分):

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生地:

  • 小麦粉 300 g
  • 卵 2個
  • サワークリーム(30%) 100g
  • バター 50g
  • 塩 小さじ1
  • 粉砂糖 大さじ2

フィリング:

  • ウサギのフィレまたは鶏もも肉 350g
  • タマネギ 2個
  • キビのひきわり 60g
  • 塩 適宜
  • コショウ 適宜
  • ローリエ

作り方:

1. ひきわりは洗って、塩を加えた水で5分煮る。ザルで水を切り、冷水で洗い、ペーパータオルの上で水気をとる。

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2.生地の材料をすべてプロセッサーに入れ、なめらかになるまで混ぜる。

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3. 軽く打粉をしたテーブルに生地を置いたら、丸め、ラップに包んで20分ほど置いておく。

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4. 肉は小さく切る。脂身が多ければ多いほど、フィリングはジューシーになる。中には、皮を入れたり、骨つきの肉を使うレシピもある。パイはフォークを使って食べるので骨がついていても問題ない。

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5. タマネギはみじん切りにする。

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6.丸めた生地を2つに分ける。

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7. 大きい方は5ミリの厚さにのばす。

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8. 生地を型に広げる。ここでは型に油を塗っていないが、塗ってもよい。生地の両端は縁からはみ出すようにする。

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9. ひきわりを生地の上に置く。

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10. タマネギを加え、塩で味を調える。

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11. 次に肉を置き、お好みで塩をふる。

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12. 最後にもう一度タマネギの層を作り、コショウをふり、ローリエを置く。

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13. 小さい方の生地をのばす。

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14. 小さい方の生地で上から覆う。

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15. 端を留める。

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16. ここでは古いやり方で、キャベツの葉を使い、パイを覆うことにする。

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17. キャベツはすぐに乾燥し、パイに跡をつけることができる。ここでは代わりにアルミホイルを使った。

20分したら、200℃に予熱したオーブンに入れる。

温度を150℃に下げ、3時間から3時間半焼く。

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18. 10分ほどして、まだ焼き上がる前に、ホイルを取り出し、表面にきれいな焼き色をつける。

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19. 粗熱をとる。

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20. 伝統に従い、上部を切り落とす。

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 肉は柔らかく、タマネギも柔らかくて半透明、ひきわりも調理され、しっとりしている。熱々でパイを食べる。どうぞ召し上がれ!

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