ロシアのフィッシュ・パイ「ナクリョーポク」の作り方(レシピ)

ロシア料理
オリガ・ブロフキナ
 この古くからあるふわふわのパイは、ロシア北方でよく食されているもので、穀物、卵、甘塩鮭というおいしい多層構造になっている。伝統的にこのパイは大切な人が訪ねてきたときに焼かれている。

 何世紀にもわたって、ロシア料理においてパイはおもてなし、家庭の温かさ、お祝いのシンボルである。ロシア語で「パイ」は「ピローグ」というが、この言葉がロシア語の「宴(ピール)」に由来しているのも不思議ではない。

 ナクリョーポクは驚くほどジューシーなパイで、かなり前にプスコフとトヴェリに住んでいた女性たちによって考案されたものである。もっとも貴重とされていたのは、お米を入れたナクリョーポクであった。というのも当時はお米はとても高価だったからで、そのようなパイを焼くことができるのは裕福な家庭だけであった。

 基本的に、このパイは主要な祝日に焼かれるもので、幸福と富の象徴であり、またその丸い形は太陽を象徴している。女性の中には、パイの焼け具合で、未来を占う人もいる。たとえば、パイがカリッとしていて、形よく焼ければ、その年はお金に困らず、成功が期待できるとされている。

 このパイの名前、「ナクリョーポク」というのは、ロシア語の動詞「krepit」(留める)から来ている。これはその作り方から連想される言葉である。パイにはフィリングが入っているのだが、そのフィリングはお米の粥またはそばの実かオートミールの粥である。また層の部分はかたゆで卵と玉ねぎが使われ、フィリングの上にはやや塩味のあるサーモンのスライスで作る層を乗せ、これがパイを「留める」役割を果たしているのである。そしてこの全体をイースト菌を入れた生地で覆う。ときに表面に生地で小さな魚を作って飾り付けることもある。

 もう一つ、この名前の由来には、栄養たっぷりでお腹を満たしてくれる材料でできているからだという説がある。しかしパイは心温まるものであり、これを古代ロシア語で「nakrepisty」といった。いずれにせよ、このパイはダイエット中には向かない料理であることを忘れてはならないが、とてもおいしく、お腹と心を満たしてくれることは間違いない。

材料(直径26センチ1台分)

作り方:

1. 最初に魚を牛乳に浸す。魚を1匹用意した場合は、厚めにスライスする。お皿に魚と牛乳を入れ、12時間浸しておく。魚の塩味が強い場合は、1日浸けておく。牛乳に浸すことで魚は柔らかく、ジューシーになる。

2. 生地を作る。別々のボウルにケフィール(またはビール)、ドライイースト、砂糖、塩を入れ、暖かい場所に20分ほど置いておく。

3. 大きなボウルに小麦粉をふるい、2を入れ、よくこねる。最後にバターとサワークリームを入れ、もう一度混ぜる。

4. 生地を暖かい場所に1時間置く。1時間経ったら、手で軽くこね、さらに1時間置く。

5. その間にフィリングを作る。お米は柔らかくなるまで煮て、卵を茹でる。卵は皮を剥いて、輪切りにする。

6. 玉ねぎはみじん切りにし、ハーブも刻む。

7. 生地を2分する。片方の生地を天板の上に伸ばす。上にお米を広げ、少し押すように伸ばす。

8. ハーブを散らす。(ここではディルを使う)

9. 厚めに切った卵を乗せる。

10. 玉ねぎの層を乗せる。

11. 魚のスライスを広げる。焼いている間に魚の間にスペースができないように気を付ける。

12. 残りの生地で留める。溶き卵とサワークリーム大さじ1杯を表面に塗ってもよい。

13. 180℃に予熱したオーブンに入れて50分ほど焼く。どうぞ召し上がれ!

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