田舎暮らしというものは都会での生活とは大きく違う。それは日常の生活においてだけでなく、食文化においても当てはまる。友人が田舎で祖母と過ごした子ども時代の経験を聞くとまさに納得したものだ。友人は、トヴェリ州での夏休み中に食べたお菓子について話してくれたのだが、わたしもそれを作ってみたいと言う気持ちを抑えることはできなかった。
それは、「プレスヌハ」と言うライ麦で作るフラットブレッドである。このお菓子のことを調べているうちに、わたしはこれは地方の村々でつくられる田舎菓子であることを知った。プレスヌハという名前は、「パン種の入っていない(ロシア語でプレスヌィ)」という言葉から来ている。というのも、このお菓子の生地はとても素朴で、酵母も入っていないからだ。
夏につくるプレスヌハにはスグリ、チェリー、ブルーベリーなどのベリー類を入れるが、より一般的なものはカッテージチーズが入ったものである。
伝統的に、特別なイベントや祝祭日のときには小麦が使われる。しかしプレスヌハは、日常的につくられるもっとお手軽な一品。このお菓子には、濃厚なサワークリームを練り込んだライ麦粉が欠かせない。自家製の素朴な乳製品、カッテージチーズやサワークリームを使うことでこのパイが特別なものになる。
友人があるエピソードを語ってくれた。ある日の朝、暖炉から漂ってくる、何かを焼いているようないい香りで目が覚めた。それは、彼女の祖母が薪で燃やす暖炉で甘いカードを入れたあつあつのガレットを焼いていたのだという。そしてそれは、ミルクとともに朝食に出てきたのだそうだ。
わたしは出来るだけ元来の素材にこだわろうとしたが、ライ麦粉がどうしても手に入らない。今では甘いお菓子を焼くのに使うことがないからだ。そこで、ここではより素朴な雰囲気を強く与えてくれるブランを使うことにする。冬の雰囲気を出したうえでライ麦粉の香りに代わるものとしては、スペキュラース・スパイス・ミックスを使う。
プレスヌハを焼くのにガレットのようにふつうの天板を使うこともあるが、わたしはアルミニウム製の型を使って中に入れたカッテージチーズがこぼれ出ないようにする。また、スプーン数杯のスターチを加えれば厚みが増す。
サワークリームと全粒子から出る脂肪分のため、生地はショートブレッドのようにもろく、カリっと焼きあがるが、柔らかさもある。それと対照的に繊細で甘いフィリングが口の中でとろける。
1. 生地の材料をすべて合わせ、手早くこねる。
2. 丸くまとめ、アルミホイルで包んで、30分休ませる。
3. カッテージチーズはザルで濾す。
4. 卵黄を加える。
5. 砂糖、塩、コーンスターチを入れ、混ぜる。
6. ケーキ型(16~18センチ)にバターを塗る。
7. 生地をめん棒で伸ばす。
8. 型に入れる。
9. フィリングを詰め、縁にも広げる。190℃に予熱したオーブンで50分焼く。
10. 出来上がり。熱々でも冷めてもおいしい。
11. ミルク、キセーリ、ハーブティーと一緒に召し上がれ!
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