ヤースナヤ・ポリャーナは19世紀のロシアでもっとも偉大な作家のひとりであるレフ・トルストイの屋敷があったことで知られている。のどかな美しさと静かな環境の中で、彼は世界的な傑作小説を執筆し、教育学を研究し、そして、もちろん家族と多くの時間を過ごした。
トルストイ邸では正しい食生活が厳密に守られていた。たとえば、家族は毎日決まった時間に食事をとった。そして毎日、この小説家の妻は、翌日のメニューを前日に用意して料理人に渡していた。しかし、時にはソフィヤ自身が家族全員の食事を作らなければならないこともあった。
ソフィヤはこころ温かく、情熱を持って人をもてなした。彼女はその当時、高価であった台所用品を手に入れ、家政学に関する雑誌を定期購読し、さらに自ら料理本を編さんした。残念ながらこの本は彼女の生存中は出版されず、100年以上も一族の蔵書の間に埋もれていて、最近になってようやく世に出た。
この本には162種ものレシピが収録されている。これらすべてがバランスよく栄養が摂れる料理である。レオ・トルストイがベジタリアンになってからは、このダイエットを熱心に応援した。ジャムキはソフィアの料理本にあるレシピのひとつであり、ベジタリアンにぴったりのダイエット食だ。
トゥーラ州では今でも小さなジンジャーブレッドをジャムキと呼ぶ。この名前の由来は、「絞る (ロシア語の『ジャッチ』)」から来ている。大量生産されている有名なトゥーラのジンジャーブレッドと違い、この小さなジンジャーブレッドはひとの手で絞ってつくられるからだ。
よく知られている通り、蜂蜜は天然の防腐剤としての働きがあり、蜂蜜入りの菓子はより長持ちする。
そのため、蜂蜜入りジンジャーブレッドは何か月も鮮度が保たれ美味しく食べることができる。もちろん、もしすぐに食べ尽くさずにいられればの話だが。
ここでは、ソフィヤの料理本にある古いレシピを基にしたおいしいジャムキを作ってみよう!
1. まず2種類の蜂蜜を鍋に入れて混ぜ、溶かして、室温まで冷ます。
2. レモンの皮をおろす。
3. 蜂蜜が入った鍋にレモンの皮、砂糖、ラム酒を加えて、しっかり混ぜる。
4. 砂糖づけのフルーツとアーモンドを細かく刻む。
5. 刻んだ砂糖づけのフルーツ、アーモンド、スパイスを蜂蜜の入った鍋に入れ、よく混ぜる。
6. 小麦粉を少量ずつ加え、生地を練る。生地が十分に硬くなったら、テーブルに置き、丸くまとめる。
7. 生地を袋かボウルに入れ、覆い、一晩(できれば1日)冷蔵庫で寝かせる。
8. 冷蔵庫から取り出した生地を常温に戻し、小麦粉を振るか、ビニール袋で覆って伸ばす。
9. ベーキングペーパーの上で直接、好きな形に抜く。あるいはソフィヤ・トルスタヤがしたように、手で小さなボールを絞り出していく。アーモンドを3粒ずつそれぞれのジンジャーブレッドに入れ、180〜200℃のオーブンで10〜15分焼く。冷めたら、シートから外す。
10. これでジャムキの出来上がり。蓋のついた容器に入れれば数ヶ月保存できるが、数日で食べ切ってしまうに違いない。
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