ポチョムキンのスープは、陸軍主席大将のグリゴリー・ポチョムキン=タヴリーチェスキー公爵の名前を冠した、一皿目の料理である。ポチョムキンは、輝かしい軍人として、また才能あふれる政治家として、祖国を守ることに全人生を捧げた。彼の仕事ぶりと才能は女帝エカテリーナ2世に高く評価され、ポチョムキンは何年にもわたって、女帝の主要な助言者であり続け、その関係はのちに私的なものへと変わっていった。つまり、ポチョムキンはもっとも強力なロシアの女帝のハートを掴んだのである。
このポチョムキンについて、現在の人々が思い出すものとは何であろうか。残されているのは、信ぴょう性があるとは限らないいくつかの伝説と、黒海周辺の土地を併合したという歴史的事実、貧しい実態や不利となる事実を隠すために作られた見せかけだけの施設と指す「ポチョムキン村」という表現、そして、この彼の名が付けられたスープである。
通のグルメだった公爵は、宴を開き、お祝いの席を設けるのが好きだった。そして、ポチョムキンのディナーのメニューに含まれた料理には、「タタールの仔牛の尻尾」、「牛の目のソース添え」、「早朝の覚せい」、「トロイの豚」など、人々を悩ませるような名前が付けられていた。
ポチョムキンが本当にこのスープを食べたかどうかは実際には分からないが、スープは洗練されたおいしいもので、実に彼らしいものだと言うことができる。このスープは、いわゆる「トリプル・ブロス」と呼ばれるブイヨン「トリプル・ウハー」を使って作る。こうすることで、より濃厚なスープになるのである。加えて、オリジナルのレシピには特別な味と香りを加えるため、ワインが使われ、またつなぎに卵黄が入れられる。またフィッシュ・ボールや魚のフィレ肉を丸めたものが加えられるのも興味深い。
1. トリプル・ウハーを作る。コイとパーチ(または普段、スープに使っている魚)の内臓を処理し、えらをとり、3つにカットする。そのうち1つはガーゼで包む。
2. ガーゼで包んだ魚を鍋に入れ、水を注ぎ、30〜40分ほど煮込む。
3. ガーゼで包んだ魚を取り出し、絞ったら、別の切り身をガーゼで包み、鍋に入れる。30〜40分煮込み、もう1つの切り身も同じようにする。タマネギ1個、塩、コショウを加える。タマネギと魚に火が通ったら、すべて、ブロスから取り出す。
4. ワカサギの用意をする。身だけをとり、骨を取り除く。魚の骨、頭、ひれは捨てずに置いておく。
5. 魚の身にやわらかくしたバター(食塩使用)を塗り、小さく丸め、酢を入れたお湯にさらした細いネギで縛る。
6. ワカサギの骨、頭、ひれを使って、タマネギとクローブを加えて、ブロスを煮る。ブロスができたら、濾す。トリプル・ウハーをワカサギのブロスに加える。お好みで塩を加え、沸騰させ、巻いた魚を10分ほど煮て、取り出す。
7. フィッシュ・ボールを作る。パーチの身から骨を取り除き、小さく切る。
8. 別のボウルに、パンを数枚入れ、牛乳を注ぐ。柔らかくなったらすぐにパーチを加える。その後、ザリガニバター小さじ1(あれば)と塩を加える。
9. ブレンダーでなめらかにする。その後、ティースプーンを使ってボールにする。
10. フィッシュ・ボールをブロスに入れ、10分ほど茹で、取り出す。
11. ブロスにワインを加える。
12. ニンジンとセロリを切り、スナップエンドウを加え、さっと煮る。
13. 卵黄を泡立て、生クリームを加えたら、温かいスープ(熱すぎないこと)に加えたら、泡立て器で混ぜる。それからスープを火にかけ、沸騰寸前で止める。
14. ワカサギを丸めたものとフィッシュ・ボールをお皿に入れ、上からブロスを注ぐ。ハーブを加えてもよい。
15. ロシア史から生まれたおいしいスープを召し上がれ!
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