「アブリコソフ・アンド・サンズ・ファクトリー」はロシア帝国でもっとも知られた最高の菓子屋であった。この菓子工房は、高品質な焼き菓子を作ることで有名なだけでなく、大衆に革新的な方法で菓子を提供することでも知られていた。創設者である、アレクセイ・アブリコソフは、菓子の包み紙のデザインのために最高の画家を雇った(革命以前、子どもたちに愛されたキャンディについてはこちら>>)。
ナッツペーストを中に入れたキャラメルを売るために、アブリコソフは「ガチョウの足」という驚くべき名前をつけた。ロシア語では「グシヌィエ・ラープキ」というこのお菓子は瞬く間に子供たちの間で人気を博した。
20世紀の後半、ソ連の菓子屋たちは商品の幅を広げ、贈り物用の全く新しいケーキや菓子を創り出していた。1000種類以上のケーキ、ペストリー、クッキー、ワッフルなどが世に紹介された。
「ガチョウの足」というこのケーキの名前は、この有名なお菓子の名前から取られている。しかし、驚くべきことには、この名前はお菓子の中身にまったく影響を及ぼさなかった。つまり、キャンディーの方の主な材料はナッツであったが、ケーキの方は、柔らかいスポンジケーキをベースに、サクランボとチョコレートが使われた。
この「ガチョウの足」ケーキは、町の中心にある菓子屋で販売され、特に結婚式や何か特別な日のテーブルに好んで載せられた。このケーキの見かけがとても変わっていて、いくつかに区切られた長方形をしていて、それぞれの区分けに異なる色のチョコレートのコーティングがされていた。そしてチョココーティングの上から、「ガチョウの足」の模様がつけられていた。このケーキは6-8キロの重さにもなることもあった。
ではさっそく、このソ連時代のケーキを家庭で焼いてみよう。
1. まずチェリーをコニャックに入れ、4〜5時間、または一晩漬ける。
2. 卵に塩少々を加え、なめらかになるまで泡立てる。砂糖とバニラシュガーを加え、ふわふわになるまで高速で泡立てる。
3. ふるった小麦粉を卵に加え、力強く、丁寧に混ぜる。
4. 生地を型に入れ、180℃に予熱したオーブンに入れ、20〜25分焼く。楊枝を使って、中が焼けたかどうか確認する。中まで焼けていれば、オーブンから取り出し、冷ます。
5. 生地を型からそっと取り出し、室温まで冷まし、ラップで覆って、数時間から一晩、冷蔵庫に入れる。
6. クリームを作るのに、まずはシロップを作る。砂糖と生クリームを小さな鍋に入れ、砂糖が融けるまで熱する。
7. シロップが出来上がったら、火から下し、コニャックを加える。よく混ぜてからボウルに移す。シロップが室温くらいまで冷めたら、冷蔵庫に入れ、半時間ほど冷やす。
8. バターは冷蔵庫から取り出し、室温にする。ミキサーを使い、高速で2〜3分泡立てる。
9. その後、少しずつシロップをバターに加えていく。その都度、ミキサーで混ぜる。
10. ココアパウダーをふるい入れ、スパチュラで混ぜ、なめらかになるまでミキサーで混ぜる。デリケートでおいしいチョコクリームができる。
11. 生地用のシロップを作る。チェリーの汁をしぼる。チェリーの汁に水を加え、砂糖を入れたら、火にかけ、沸騰させる。シロップを火から下ろしたら、室温まで冷ます。
12. 生地は半分にカットし、それぞれシロップに30分ほど浸す。
13. 半分は皿に乗せ、上にチェリーを並べる。丸いケーキ型を置き、上にクリームを広げる(クリームは、後でデコレーションに使うので、スプーン5杯分ほど残しておく)。
15. もう半分の生地を乗せ、上からスプーン何杯か分のクリームを広げる。ケーキ型を外し、サイド部分にもクリームを塗る。ケーキを冷蔵庫に入れ、1時間ほど休ませる。
16. ケーキのサイド部分にお好きなクッキーを砕いて飾る。
17. バターとチョコレートをオーブンで温める。ただしチョコレートを温めすぎないよう注意すること。スプーンで混ぜる。
アイシングをケーキの上に注ぎ、なめらかに平らに伸ばす。
18. 残ったクリームをしぼり袋に入れ、ケーキの縁を飾り、ガチョウの足跡をつける。さらに20分ほど冷やす。
19. ケーキは、バタークリームベースになっているため、冷蔵庫に入れると固くなるので、とりわける30〜40分前には冷蔵庫から取り出す。おいしいケーキを召し上がれ!
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