ダゲスタンの言葉でウルベチとは「亜麻の実の種をすりつぶしたもの」と言う意味を持つ。亜麻の実は、この美味しく栄養のあるペーストを作るための主要な材料であった。しかし、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、カボチャなど他の種を使っても良い。亜麻の種で作ったウルベチを別にすれば、次に人気があるのはアプリコットの種のペーストだ。地元ダゲスタンに見に行けば、あらゆる種類のウルベチがあり、何種類かを混ぜ合わせて使うこともある。
ウルベチはバターと蜂蜜を加えて出されることが多い。アプリコットの種で作ったペーストは、ダゲスタンの伝統的なアプリコットの種の粥と一緒に供される。
古来よりダゲスタンの高地民族は山に行くときにこのペーストを持って行っていた。というのもかさばらず、腹もちが良いからだ。ウルベチは薬にもなる。亜麻の実の種は抗酸化物質、繊維質、グルテンを含み強壮効果があり体を回復させてくれる。また抗がん作用があり、消化を助け。血管をきれいにしてくれる効果もある。木の実は、エネルギーを与え、体に豊富なビタミンとミネラルをもたらしてくれる。
作り方は17世紀以来変わっていない。知られるようになるにつれて、手作業は機械が取って代わったが、調理過程である、浸け置き、圧搾、乾燥、すりつぶしの今も手作業のままである。
大量生産されるようになって、ウルベチは液体状に作られ、それから粘性を出すようになった。石臼ですりつぶされた種やナッツは油っぽいペーストになる。
液体状のウルベチを家庭で作るのはとても難しいが、出来ないことはない。
できれば白亜麻を使うほうが良い、というのも香りがやわらかいからだ。それに、アーモンドとアプリコットの種を加えると、より本物の味に近くなる。それらの材料を乾燥させて別々に挽く。それぞれ異なる油分が出すからだ。
覚えておいてほしいのは、多くの栄養分を持つのは生の亜麻の実の種だけだということだ。木の実を挽く前に、少し乾かすが、炒ったりはしない。家庭で作るときには、香りを保つために少量の材料で調理した方が良い。
ここで紹介するレシピでの材料の量は、私の好みの味のものである。気に入ってもらえると嬉しい。
1.亜麻の種はコーヒーミルまたはブレンダーで粉状にする。少し溜まったら、側面についたものをこすり落として、また作業を続ける。液状で脂っぽい状態にするには、より多くの種を用意し、強力なブレンダーで長時間挽くこと。
2. アプリコットから杏仁を取り出す。しかしこの作業には時間がかかり、またアプリコットはシーズンによっては手に入らないため、入れずに作ることもできるが、香りづけのためにほんの少しでも使うことをお勧めする。
3. 杏仁とアーモンドオーブンで乾燥させる(140℃で15分)。
4. アーモンドをブレンダーでつぶし、塩を加える。側面についたものをこすり落として、挽き続けるとクリーミーになり、艶が出てくる。
5. 種にハチミツをスプーン1杯加える。ハチミツはさらっとしていればしているほど、伸びが出る。濃厚なものを使うと、生地はどろっとする。
6. アプリコットの杏仁から種を取り出し、ブレンダーでつぶす。
7. アーモンドペーストと亜麻の種とアプリコットの種の粉を合わせる。
8. この状態でペーストを蓋のついた陶器かガラスの器に入れて、1か月以内であれば、冷蔵庫で保存できる。
9. さらになめらかにするには、バターを溶かして少し冷ましたものを加える。
10. ハチミツを加え、なめらかになるまで混ぜる。
11. ナッツと種のペーストを混ぜたものと合わせる。ペーストもバターもハチミツも、お好きな硬さになるよう、好きなだけ加えてよい。ここでは80gのペーストにバター25gを加えた。
12. 液状のウルベチはおかゆ、ヨーグルト、プリンなどに加えてもよい。クリーミーなものであれば、トーストに塗ったりリンゴのスライスにかけても。バターを入れたペーストはできるだけ早く食べ、数日内に食べ切ること。どうぞ召し上がれ!
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