『ANORA』に出演して話題に、ロシアのスター、ユーリー・ボリソフ(写真特集)

Ekaterina Chesnokova/Sputnik
ロシア出身者として初めてゴールデングローブ賞助演男優賞にノミネートされ、ロサンゼルス映画批評家協会から助演男優賞も受賞した。

 栄誉ある賞にノミネートされたというニュースは、12月8日のボリソフ本人の誕生日と重なった。Vkontakteのボリソフのページには仲間やファンからの祝辞が寄せられ、その中には『ANORA』で共演したマーク・エイデルシュテインもいた。

 ボリソフは1992年、モスクワ郊外のレウトフ生まれ。モスクワのシェプキン演劇学校を卒業している。インタビューで語ったところによると、古典演劇の制限や枠組みには当惑を覚えたという。2010年に映画デビューし、スパイのアレクセイ・コズロフの若き日を演じた。

「映画は私にとって第二の人生となった。過去や未来、あるいは実現したかもしれない現在の姿を見られるのだ」と、ボリソフは語っている。

 ミハイル・カラシニコフの伝記映画で主役を演じるなど、ボリソフの俳優歴には戦争映画が多い。2018年にはダリヤ・ジュークが監督した『Crystal Swan』に出演。同作はアカデミー賞にベラルーシ代表として選出された。

 2021年、カンヌ映画祭グランプリ受賞作『コンパートメント№6』(ユホ・クオスマネン監督)に出演したことで、国際的な知名度を得る。

 ムルマンスクを目指して旅するフィンランド人女学生と、同行者のリョーハの旅物語は批評家たちを魅了した。セザール賞やゴールデングローブ賞にノミネートされ、フィンランドからアカデミー賞に出品された。同年ボリソフは、1938年のレニングラードを描いた歴史改変SF『ヴォルコノゴフ大尉の逃亡』の主演男優として、ヴェネチアで賞賛を受けた。

 妻のアンナ・シェフチュクとの間にはマルファとアクリーナの2人の娘がおり、家族こそ人生で最愛の人々であると言う。「今、自分の日常でもっとも大切なのは妻と子供たち。当たり前のことのようで、とても不思議でもある」と、彼は言う。

 今年、ボリソフはいくつかの注目作に出演した。ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』の映画化作品では猫のベヘモートの声を担当。ロシアの有名なSF作家キル・ブルィチョフの『100年後』の映画化作品では、コミカルな宇宙海賊の役を演じた。

 ロシアのオリガルヒの息子とストリッパーが複雑な関係に陥るショーン・ベイカー監督の『ANORA』で、ボリソフが演じた用心棒イーゴリ役はまさに大当たりとなった。

 カンヌ映画祭での上映時、観客は10分間にわたって熱烈な拍手を送り、同作はパルムドールを受賞。

 ハリウッドスターたちも、『ANORA』を高く評価している。トロント映画祭ではアンジェリーナ・ジョリーがボリソフに歩み寄って、いかにこの映画を気に入ったか話したという。ローリング・ストーン誌は、『ANORA』を今年の映画TOP10に加えた。

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