主要なロシア民謡10選(動画付き)

Igor Moiseyev Ballet
 これらの曲の歌詞とメロディーは、ロシアのほぼすべての人に馴染みがある。確かに、これらの曲が民謡なのか、作者によって様式化されたものであるかについてはまだ議論が続いている。

1. ワーレンキ(フエルト製の長靴)

 この歌は20世紀初頭に登場したが、元々はジプシーの踊りの歌だったと考えられており、お祝いの時によく歌われていた。この歌は今世紀初め、有名な歌手数名のレパートリーに入っていた。

 リディア・ルスラノワは、自分のアレンジでこの歌を歌い、それは現在最も人気のあるバージョンである。この歌は第二次世界大戦中、前線の慰問コンサートで非常に人気が出て、赤軍がベルリンを占領した後、ルスラノワはベルリンの国会議事堂の正面階段でこの歌を歌ったこともあった。

2. ピテルスカヤ通り沿い

 この曲のオリジナルの「民謡」バージョンは、ピテルスカヤ通り(サンクトペテルブルクからモスクワへ向かう道)とモスクワのトヴェルスカヤ・ヤムスカ​​ヤ通り沿いをトロイカを「ベルを鳴らしながら」走らせたモスクワの御者によって歌われていた。

 この曲は20世紀初頭の有名な歌手、フョードル・シャリアピンによって謳われ大人気を博した。シャリアピンのバージョンでは、いくつかの御者の歌が組み合わされている。

3. 野原に白樺が立っていた

 この輪舞曲は、現在知られている輪舞曲の中で最も古いものの一つである。

 そのメロディーは、ピョートル・チャイコフスキーニコライ・リムスキー=コルサコフの両方が楽譜に起こして編曲した。オリジナルバージョンでは、愛していない相手と強制的に結婚させられた少女が、白樺の枝を摘みに行ってバラライカを作ると歌う。

 この歌は正教の五旬祭(復活祭から50日目に祝われる)と、春に別れを告げ、輪舞をし、白樺の木で家を飾るというスラブの異教時代に遡るロシアの習慣と関連していると考えられている。この歌には良く知られた民族歌謡舞踊の「ベリョスカ」もある。

4. りんご

 このチャストゥーシカ(四行詩の流行歌)はロシア内戦中に非常に人気がでた。その「革命」バージョンの一つは、革命軍の水兵たちの非公式賛歌となった。

 この歌の最初の楽譜は20世紀初めに現れた。さらに有名なのは、この歌そのものだけではなく、しゃがみ、足を前に出し、その足をもう一方の足に替える威勢のいい水兵の踊りである。

5. ドゥビヌーシカ(労働歌)

 「えんやーこーら」という掛け声の入ったこの民謡とそのバリエーションは、川の流れに逆らって船を引く船引き労働者やその他の重労働をする人々によって歌われていた。この歌は1860年代から知られており、当時初めて記録された。そしてその後、この曲はプロレタリアの革命歌となり、1917年の革命時には最も人気のあるメロディーの一つとなった。最も有名なのはフョードル・シャリアピンが歌ったものである。

6. 兵士よ、勇敢な少年たちよ

 この兵士の行進曲には、即興で思いついた膨大な数の詩が含まれている。一部の兵士は他の兵士に返答し、「兵士よ、勇敢な少年たちよ」とリフレインして繰り返さなければならなかった。すべての歌詞は軍人の勇気に関したものである。 

7. コサックの寓話

 このコサック民謡は「ステンカ・ラージンの夢」としても知られ、叙事詩とみなされている。この曲は、コサックが自分の死が予言される夢を見る様子を歌っている。この曲は19世紀末に初めて記録され、その後20世紀半ばにオーケストレーションが作られた。現在ではフォーク歌手のペラゲヤによって歌われている。

8. 黒いカラス

 古いコサックのロマンスは、瀕死のコサックの視点で歌われている。コサックはカラスにドン川に飛んで自分の死をみんなに知らせるよう頼む。この曲にはいくつかのバージョンがあり、1831年に出版されたロシアの将校ニコライ・ヴェレフキンの詩を翻案したものだと考えられている。 

9. おお、酷寒よ、酷寒よ

 多くの民俗物語やいろんな旋律の節で、冬や酷寒に人間を大切にしてほしいというような願いが繰り返されている。民族学者のパベル・シェインが記録した全集にはトゥーラの歌があり、そこには「冬さんよ、冬、私の激しい冬!お願いです。私を凍らせないでください」というフレーズがある。

 昔、ロシア人は冬に長い旅に出るとき、その場所にたどり着くことができるか、あるいは風雪によって凍えてしまうか分からなかった(死んでしまうかもしれなかった)ため、このような歌は災難を防ぐものと迷信的に考えられていた。

 「おお、酷寒よ、酷寒よ」という曲は、1956年にヴォロネジのロシア合唱団のソリスト、マリア・ウヴァーロワが夫と一緒に録音したものが現在まで残ったと考えられている。ちなみに、ウヴァーロワはその後何年もかけて自分に著者権があることを証明しようとしたが、認められなかった。

 この曲は、映画「タイガの主」(1968年)でワレリー・ゾロトゥヒンが歌った後、絶大な人気を博した。

10. カリーヌシカ、マリーヌシカ、るり色の実

 おそらく、最も有名なロシアの「民謡」である「カリンカ・マリンカ」がリストにないことに驚いただろう。ほとんどの研究者は、この民謡はサラトフの民俗学者イワン・ラリオノフによって1860年に書かれたと信じている。しかし、この曲はソ連の作曲家アレクサンドル・アレクサンドロフによって編曲され、クラスノズナメニー歌謡舞踊団によって演奏されてから世界的に有名になった。

 民間には、ラリオノフにインスピレーションを与えたであろう同様の歌があった。1853年に記録されたとされる「カリーヌシカ、マリーヌシカ、るり色の実」がそうだっただろう。この歌はそれほど陽気で元気よくはなく、もっと悲しげなものだ。その中では、女性が夫が家に帰ってこなかったと歌っている。ソビエト時代にはオペラでよく上演された。

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