ハリポタ的世界観に浸れるロシアのスポット10選

 ハリー・ポッターの映画シリーズは、ストーリーの妙と役者の熱演はもちろん、古城や謎の部屋、独特の店や印象深い風景といった世界観でも人々を魅了してきた。実は、似たような独特の雰囲気を持つ場所は、ロシアにもあるのだ。
  1. ネオゴシック様式の生神女マリア無原罪懐胎大聖堂

 ハリー・ポッターとその仲間たちは新学期を迎えるにあたり、必ずキングス・クロス駅のプラットフォーム9と 4分の3番線から発車する列車に乗って出発した。だがファンに最も強い印象を残したのは、ネオゴシック様式のセント・パンクラス駅の優美なファサードと、ハリー・ポッターがその真上を飛んだ赤レンガの尖塔だろう。

 実は、モスクワのマーラヤ・グルジンスカヤ通りにあるネオゴシック様式の生神女マリア無原罪懐胎大聖堂が、セント・パンクラス駅にそっくりなのである。

 透かし彫りが施された尖塔と、クラシカルな尖頭窓、高いアーチ屋根など、英国情緒を偲ばせる要素の多い建築だ。

  1. プドリンゴヴイ高架橋

 ポッターシリーズでも最も印象深い風景の1つは、ホグワーツ特急が走るグレンフィナン高架橋だろう。

 似たような橋が、スヴェルドロフスク州にある。1916年にプドリンゴヴイ村の近くに建設された鉄道高架橋だ。100年以上経った今も現役である。高架橋の近くまで寄ることはできないが、付近の丘に登れば抜群の眺望が開ける。

  1. ルスケアラ・エクスプレス

 ホグワーツ特急にも、ロシア版が存在する。それが、カレリヤ地方のソルタワラ~ルスケアラ山岳公園間を走るレトロ特急「ルスケアラ・エクスプレス」だ。

 蒸気機関車が牽引する特急列車は、レトロ情緒たっぷり。コンパートメント客車と食堂車は、19世紀調の内装。丁寧に整えられたインテリアは、魔法使いが魔法のスイーツを載せたワゴンを押してそうな雰囲気だ。

  1. バルディギン記念エゴリエフスク技術大学

 魔法魔術学校によく似たイギリス・ゴシック様式の建築が、1909年に開校したバルディギン記念エゴリエフスク技術大学だ。

 ホグワーツと同様、尖頭窓と尖塔を備えたメインキャンパス(ただし、天文学は研究していない)や、池のある植物園が特徴だ(スコットランドの城のそばの、マーピープルのいる黒い湖を思わせる)。

  1. ツァリツィノ温室

 ホグワーツの生徒たちがマンドラゴラの世話や採集、その他の薬草学を学ぶポモーナ・スプラウト教授の温室によく似た温室が、モスクワのツァリツィノ公園の温室だ。植物相の多様さという点では、ホグワーツの温室にも負けない。

 ツァリツィノに最初の温室が現れたのは1740年代。その当時からビターオレンジ、バラ、ブドウ、イチジク、アロエなどの外来の果物や観葉植物が栽培されてきた。スプラウト教授の温室と同様、ツァリツィノの温室でも1年を通して希少な植物が咲き、果実が実っている。

  1. グルンヴァルトの樫

 ホグワーツのもう1つのシンボルは、攻撃的な暴れ柳だ。ハリーとロンが乗った空飛ぶフォード・アングリアを攻撃したのも、この暴れ柳だ。暴れ柳の枝は油断した鳥を捕え、根の間には叫びの部屋に繋がる入口がある。

 ロシア最古の木の1つが、カリーニングラード州にある「グルンヴァルトの樫」で、樹齢は800年以上。柳と樫ではだいぶ違うが、この樫の木はその大きさ(幹周り13メートル超、樹冠の幅40メートル)と美しさで、魔法の暴れ柳にも決して劣らない。

  1. ホダセーヴィチ書店、ポドピスヌイエ・イズダニヤ書店

 学業に臨むにあたってホグワーツの生徒たちが必ず訪れるのが、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店だ。ここで生徒たちは薬草学や、魔法生物の飼育、変身術などの参考書を買うのである。

 ホグワーツの魔術書店と同様、モスクワの古書店「ホダセーヴィチ書店」も天井まで大小様々な書籍で埋め尽くされている。迷子になりそうな狭い通路は迷路のよう。歪んだ書架には、演劇や建築、美術や文学、歴史書などの希少な書籍が並ぶ。

 サンクトペテルブルクの「ポドピスヌイエ・イズダニヤ書店」も、時間の経つのを忘れてしまうような店だ。北方モデルヌ様式の建物の中には、天井まで届く書架と梯子。本を選んだら、広い窓辺に移動して寛ぐか、コーヒーをお供に休憩できる。

  1. エリセエフスキー食品店

 サンクトペテルブルクでハリポタ世界の住人の気分に浸れるもう1つのスポットが、エリセエフ兄弟商会の店だ。豪華な内装と豊富な品揃えは、ウィーズリー兄弟の悪戯専門店「WWWを思わせる。赤毛の双子の店と同じく、エリセエフスキー食品店もまた、見慣れぬ珍しい商品に溢れている。珍味、手作りスイーツ、古いレシピで作った料理など。目を見張るアール・ヌーヴォー調の内装が有名だが、品物も負けず劣らず見事なのである。

  1. シンガー会館

 ホグワーツのひときわ目立つシンボルといえば、作中の劇的な出来事の舞台にもなった天文台の塔だろう。

 サンクトペテルブルクのシンガー会館も、同じくらいに堂々たる風格のモダニズム建築だ。ファサードの女性像群はワルキューレで、それぞれが鋼の糸が巻かれた紡錘を手に持ち、足元には、建物を発注したシンガー社の象徴であるミシンが造形されている。建物の頂点にはガラスのキューポラがそびえ、ウミワシの像が羽を大きく広げている。連想されるのは、レイブンクロー寮のワシのエンブレムだろう。そしてその客間は、まさに天文台の塔の中にあるのだ。

  1. ロシア国立図書館

 ホグワーツ図書館には、あらゆる書物が保管されているという。ヨーロッパ最大級の図書館であるモスクワのロシア国立図書館は、収蔵数4900万冊。ホグワーツに負けていない。ロビーと玄関階段は実に荘厳。大理石とブロンズと樫材の装飾が彩るメイン閲覧室は、まるで博物館のようである。

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