ロシアンスタイルを取り入れた斬新な装飾品(写真特集)

Amarin Jewelry; Markin Fine Jewellery
 ロシアンスタイルといえば、ココシニク、マトリョーシカ、御殿の模様、モンゴル支配以前の石彫り、ロシア聖教、帝国の伝統などである。こうしたモチーフが、重厚な宝石品からシンプルなアクセサリーに至る現代の宝飾芸術にいかに反映されているのか見てみよう。

1. リング「女帝タマーラ」、Axenoff Jewellery

 デザイナー、ピョートル・アクショーノフの作品は古いロシアの伝統を深く感じさせる。アクショーノフは、子どもの頃からロシアの伝統に夢中だったという。というのも、母親が有名なイコン(聖像画)画家なのである。アクショーノフの装飾品ブランド、アクショーノフ・ジュエリーは、この伝統を直接取り入れたコレクションをいくつか出している。たとえば、「ロマノフ家」と題されたコレクションは、ロシア最後の皇帝の宝飾品にインスピレーションを受けた作品である。20世紀初頭、王朝ではロシアンスタイルが流行し、その影響は、装飾品にも見られた。たとえば、白金のリングにダイアモンドとトパーズが散りばめられ、仮装舞踏会などでつけられたココーシニクの形をした女帝タマーラのリングはそれを如実に表している。

2. ペンダントトップ「オリガの十字架」、Onega Jewellery      

       イーゴリ・コモフ、カテリーナ・コモワ夫妻はロシアンスタイルの現代的な装飾品を作っているが、若きデザイナーが生み出す作品は、博物館に飾られているようなものを模倣したものとはとても言い難い。作品はいずれも、コピーではなく、歴史的な装飾品を再解釈した新たな形のものである。

 2人は古代ロシアの伝統を意識した作品づくりをおこなっており、とりわけモンゴルの襲来以前の寺院の石彫や古代ロシアの模様、手書きの絵柄、民俗工芸などにインスピレーションを受けている。ペンダントトップ「オリガの十字架」はロシア国家が誕生した時代の最初の公国をテーマにしている。シルバーにガーネットが嵌め込まれたもので、存在感のあるチェーンを使うようデザインされている。

3. ピアス「ロシアンスタイル」、Ilgiz F.

 ロシアでもっとも有名な宝石職人であるイルギス・ファズルジャノフはシリーズもののアクセサリーを作っているが、その中の一つが「ロシアの心」である。イルギスは七宝焼を得意とし、全ての作品にその技術を取り入れている。たとえば、ピアス「ロシアンスタイル」は、嵌め込まれた七宝焼が主要な装飾要素となっている。この七宝焼が、古代ロシア建築、衣装、日用品―つまり古代ロシア文化全体に特徴的だった鮮やかな印象を与えている。

4. フレーム型ペンダントトップ「大天使聖ミハイル」、ArgentoV

 ヤロスラフ・アルゲントフは、カメオとインレーの代表的なスペシャリストである。アルゲントフのブランドには、ロシアの伝説的なインレー職人ウラジーミル・ポポヴィチも参加している。石に彫刻を施した作品がこのブランドの特徴である。この彫刻が施されたアメトリンとエナメルで作られ、イコンを身につけるためのアクセサリー様に仕上げられたゴールドのペンダントトップもそんな作品の一つである。

5. ブレスレット、Chamovskikh

 このウラルのブランドの多くの製品がロシアの伝統、帝政時代の文化を感じさせるものとなっている。このブランドは、博物館保護区である「ペテルゴフ」と特別な契約を結んでおり、有名なこの皇帝の宮殿の美学にインスパイアされた作品が博物館の中でも紹介されている。このブレスレットも、帝政時代のロシアをテーマにしている。ここには、ロシアのバロック建築家たちが感銘を受けたものがすべて詰まっている。力強いゴールドの編み目模様と輝くダイアモンド、明るいグリーンの孔雀石との組み合わせは、まるで皇帝の屋敷のインテリアから飛び出してきたかのようである。

6. コレクション「ゴルブシカ」のブローチ、Oxioma

 この若きモスクワのブランドは国民的なコレクションをいくつか出しているが、その一つが、「ゴルブシカ」で、ロシアンスタイルをテーマにしている。コレクションには、ロシアの美女がスタイリッシュに描かれたブローチ、リング、ピアスが含まれている。デザイナーたちは、シルバー、ゴールド、エナメルから、アクリル樹脂、陶器まで、実にさまざまな素材を用いた作品づくりをおこなっている。このブローチは色鮮やかなアクリル樹脂で作られ、パーツ部分にゴールドが使用されている。

7. リング「スーシカ」、Markin Fine Jewellery

 ウラジーミル・マルキンの特徴は、まったくシンプルな日常的な作品の中にも、一風変わったヴィジョンを感じさせる点である。マルキンは、伝統的なロシアのお菓子であるスーシカ(輪っかの形をした乾パンのようなもの)を魅力的な装飾品にした。金箔を施したシルバーで作られ、ケシの実はブラックダイアモンドで表現されている。

8. ネックレス、マトリョーシカ・ピュア・ゴールド、Matryoshka

 名前からも分かるとおり、このブランドはロシアの伝統的な工芸品マトリョーシカを主なインスピレーションの源にしている。マトリョーシカのイメージはきわめてさまざまにアレンジされ、伝統的なものから抽象的なバリエーションまで幅広く使われている。マトリョーシカを中心に据えたこのネックレスは、さまざまな金属のバージョンがある。こちらはもっとも高価なピンクゴールドの作品である。

9. リング「帝国の王冠」、Dzhanelli Jewellery

 このブランドの特徴はエスニックな装飾品であるが、ロシアをテーマにした作品も手がけている。たとえば、このリングはロシア帝国の代表的なシンボルを取り入れたもの。大きな皇帝の王冠は18世紀からロシアのすべての皇帝が戴冠した。この作品は、ロジウムコーティングされたシルバーで作られ、クオーツが散りばめられている。

10. リング「マトリョーシカ」、Amarin Jewelry

 デザイナーのマリーナ・アノーヒナはロシア的なモチーフを独自に再解釈した「Folk」と銘打ったシリーズを作った。たとえば、こちらはマトリョーシカをリングの形に隠したもので、ある角度で見なければ、そのコードを読み解くことはできない。ロジウムコーテイングされたシルバーに、木が嵌め込まれ、民俗工芸品的な手書きの模様が刻まれている。

新しい記事をお見逃しすることがないよう、SNSでぜひフォローをお願いします!>>

もっと読む:

このウェブサイトはクッキーを使用している。詳細は こちらを クリックしてください。

クッキーを受け入れる