「ロシアン・ピラミッド」は、マスターするのが難しいことで有名なビリヤードゲームの中でも高い人気を誇る。
「ロシアン・ピラミッド」は、ビリヤードゲームの一種として18世紀頃に誕生し、帝政時代のロシアで広く遊ばれるようになった。その後も、主に旧ソ連諸国やフィンランド、ポーランド、モンゴル、ギリシャといった国々で根強い人気があり、世界各地に普及している。
ロシア版ビリヤードは、アメリカン・プールやスヌーカーのような他の広く知られているゲームと区別されるいくつかの特徴を持っている。まず、ゲームは370cm × 180cmのテーブルで行われる。また、ボールサイズは直径約68mmであり、一般的なアメリカン・プールで使用されるボールの直径57mmと比べるとかなり大きい。
ボールの重量も異なっている。ロシアン・ピラミッドでは280-285グラム(10オンス)のボールが使用されるが、アメリカン・プールでは160-170グラム(6オンス)だ。ボールの数は、1~15の番号が振られたボールと番号のないボール1個で計16個。オブジェクト・ボール(的球)はすべて白色であり、キューボール(手球)のみ色が異なっている。
「ロシアン・ピラミッド」ならではの特徴がもう一つある。それはボールサイズとポケット幅の比率で、他のビリヤードゲームとの最大の違いだ。
12フィートテーブルには6つのポケットがあり、その幅はボールの大きさよりわずか数ミリ広いだけである。したがって、プレイヤーにはより高い技術、エイミング(狙い)の精確さ、そしてボールを突く際の繊細なインパクトが求められる。
「ロシアン・ピラミッド」は、その特有のポイント計算の仕組みを理解した上で、得点をコントロールする戦略的思考が要求されることから「ビリヤード・チェス」と称されることもある。
「ロシアン・ピラミッド」で勝利するには、プレイヤーは合計で71ポイントを挙げなければならないのだが、ポイントはボールに書かれたナンバーに応じて加算されるもので、ポケットに落としたボールの総数ではない。また、キューボール(手球)として使用できるのはカラーボールのみで、その他のボールを突くことはできない。
ロシアンビリヤードのゲームの種類は他にもある。「ロシアン・ピラミッド」は最も人気のあるゲームだが、他に「モスクワ・ピラミッド」と「アメリカン(Amerikanka)」という二つの人気ゲームがある。この二つのゲームは、変更が加えられたルールによっていくぶん遊びやすいものとなっている。
「モスクワ・ピラミッド」は、ボールに振られた番号とは関係なく、8個のボールを先にポケットに落とせば勝利となり、突くことのできるキューボール(手球)はひとつだけだ。いわゆるロシアンビリヤードのアメリカ版である「アメリカン(Amerikanka)」も同様に、番号にかかわらず任意の8個のボールを先に落とせば勝利となるが、プレイヤーはすべてのボールをキューボールとして突くことができる。
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