ヴィシニー・ヴォロチョク=  イゴリ・ゾチン/タス通信

ヴィシニー・ヴォロチョク

 モスクワとサンクト・ペテルブルグの間にあるヴィシニー・ヴォロチョク。そこに行けば、なぜこの地が「地方のヴェネツィア」と呼ばれているのかが分かるだろう。

 ヴィシニー・ヴォロチョクはモスクワとペテルブルグの間にある重要な拠点で、1471年に形成された。19世紀初頭までヴィシニー・ヴォロチョクの水運システムはペテルブルグと中央ロシアを繋いでいた。つまりヴィシニー・ヴォロチョクの運河を通じて食料品から建設資材に至るまであらゆるものが運ばれていたのである。またロシアの芸術界においてヴィシニー・ヴォロチョクは、イリヤ・レーピン、イサーク・レヴィタン、アルヒープ・クインジといった画家たちにとって「原動力となる場所」であった。

 

インスピレーションを求めて

美術館「アカデミー・ダーチャ」=イゴリ・ゾチン/タス通信美術館「アカデミー・ダーチャ」=イゴリ・ゾチン/タス通信

 イリヤ・レーピンは、19世紀後半にすでに「ヴォルガの舟曳」を描いていた。レーピンはムスタ川の水源とムスチノ湖の間に作られる陸地にある商業都市ヴィシニー・ヴォロチョクの近くに住む友人ココレフを訪ねていた。レーピンはこの小さな地がとても気に入った。レーピンは感嘆した。 「風景画家にとってまさに理想郷のような場所。ロシアそのもの、ロシアの心そのもの、ロシアの魅力そのもの。まるで歌のようだ!」と。この話をしてくれた美術館「アカデミー・ダーチャ」の学芸員は、レーピンがヴィシニー・ヴォロチョクの景色に歓喜し、テーブルの上でダンスをしたというエピソードまで披露してくれた。

 美しいものを正しく評価することができたイリヤ・レーピンと芸術のパトロン、アンドレイ・ココレフはトヴェリ州北部にあるヴィシニー・ヴォロチョク地区の素晴らしさにいち早く気づいた人物だ。この素晴らしさはのちにロシアひいては世界の絵画および手工芸の歴史に刻まれることとなった。

 = Geophoto = Geophoto

 ヴィシニー・ヴォロチョクを散策するなら画家の創作会館からスタートしよう。この創作会館は初めて創られたもっとも歴史が古いもので、ロシア画家連盟の創作拠点として1884年に活動を開始した。毎年、絵画アカデミーの学生たちが典型的なロシアの風景画の描き方を学ぶため、ここを訪れている。

 かつてレーピン以外に、画家のイサーク・レヴィタンやアルヒープ・クインジもアイデアやインスピレーションを求めて、ヴィシニー・ヴォロチョクにやってきた。当時クインジが作品を描くために何日も過ごしたアカデミー・ダーチャ近くの小さな島は彼の名が冠されている。また古い木造の赤い建物にある美術館「アカデミー・ダーチャ」には今も彼らの作品が展示されている。

 

暖かい足で橋をわたる

 =アレクサンドル・カルポフ/タス通信 =アレクサンドル・カルポフ/タス通信

 すでに2世紀以上にわたって、ヴィシニー・ヴォロチョクはその水運システムを自らの誇りとしている。18世紀、ピョートル1世の治世、ヴィシニー・ヴォロチョクの水運システムはオランダ人とロシア人の技師たちによる懸命の建設と改修が重ねられた後、初めてヴォルガ川とサンクト・ペテルブルグを結ぶことになった。こんにち、ヴィシニー・ヴォロチョクには大小およそ40の橋があり、この地をロシアの地方のヴェネツィアと呼ぶ地元の住民や観光客がその橋を渡りながら散策している。

 晩秋もしくは冬にこのヴィシニー・ヴォロチョクを訪れるなら、中心部や運河からそう遠くないところにある伝統手工芸品工房に行くといい。この地では、地元で作られた本物のロシアのワーレンキ(ロシアの伝統的な羊毛のフェルト製長靴)をマイナス30度の気温のときでも必ず裸足で履くよう勧められる。2012年に創業20年を記念してオープンされたロシア・ワーレンキ博物館では職員がこうした情報を嬉しそうに教えてくれる。またその職員の話によれば、ワーレンキを履くことによって、心筋梗塞やその他の病気のリスクを軽減することができるそうだ。

 =Geophoto =Geophoto

 またここにはロシアのワーレンキ作りの道具や技術以外に、来館者を驚かせるものがある。それがワーレンキの王様と呼ばれる高さ225センチ、重さ52キロというサイズ201のワーレンキだ。またフェルティングという技術を用いて作られたフェルトの絵柄も非常に興味深い。

 その後は、ワーレンキを履いた暖かい足で運河を渡りながら、寺院や橋を散策するのがいい。そうすればもうほとんどヴェネツィアにいるような気分になれるに違いない。

 = Lori/Legion-Media = Lori/Legion-Media

注意:ヴィシニー・ヴォロチェクは一部の人にとってぜひとも訪れたい興味深い場所である一方、別の一部の人々にとっては大渋滞、そしてロシア中が泣かされている信号を連想する場所でもある。自動車でヴィシニー・ヴォロチェクを訪れる際にはぜひ十分時間に余裕をもって出発されることをお勧めします。

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