モスクワで開かれた記者会見で、コニュホフ氏は次のように心境を明かした。「冒険の前には毎回、恐怖をあじわう。私はその感覚を失ってはいない。それはよいことなのだ。準備に数年がかかることも私には薬だ。この間に少し気を落ち着けることができる」
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気球による飛行というアイデアは、冒険家が20年ちかく温めてきたものだ。この間、彼のやる気を焚きつけたのは、1999年にベルトラン・ピカール氏とブライアン・ジョーンズ氏の二人組が、次いで2002年にスティーヴ・フォセット氏が、それぞれ気球での世界一周を成功させたことである。ただし、先人たちとは違い、コニュホフ氏は予行練習なしで、いきなり長距離飛行に出るつもりだ。オーストラリア西岸を出発点とする、気球による単独飛行のスタートは、2016年6月に予定されている。
気球は英国のキャメロン・バルーン社のもの。「気球を作らせたら世界で英国人の右に出るものはいない。だから我々も、気球はキャメロン・バルーン社のものを使う。ただし、そこに吹き込むのはロシアのヘリウム・ガスだ」とコニュホフ氏。
事前の試算では、フライトは高さ11kmで13~15日続き、最高時速は300kmとなる。
今年64歳になるコニュホフ氏は、オーストラリアの砂漠、タスマン海、ニュージーランド、太平洋、イースター島、チリ・アルゼンチン南部、大西洋、南アフリカ、インド洋上空を飛ぶ。総航行距離は約33000km(20506マイル)となる。
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コニュホフ氏は語る。「一日の睡眠時間は特殊なカプセルの中でわずか4時間程度、また簡易宇宙服を着込むことになる。約3kgのフリーズドライ食品、各50Lの飲用水ポリタンク2つを持ち込む」
気球には衛星測位システムGLONASS、ソーラーパネル、さらには、気球からの生中継を行うためのビデオカメラが搭載される。長距離飛行を可能にするのは、ヘリウムと太陽エネルギーの利用を組み合わせる、気球の二重構造だ。
組織者らによれば、著名な実業家でコニュホフ氏の友人、リチャード・ブランソン氏の経営する航空会社、ヴァージン・オーストラリアのオフィスが飛行管制センターのひとつとなる。
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