ロシア経済の停滞は、「国民の再生産行動」に影響をおよぼしておらず、2016年、家庭は子どもをつくりつづけている。「ロシア経済・国家行政アカデミー」社会分析・予測研究所の専門家が、ロシアNOWの依頼で調査を実施し、このような結論に達した。
2016年上半期にロシアで生まれた子どもの数は、不況にもかかわらず、昨年、一昨年の同じ時期と比べて、減少してはいない。今年の出生数は昨年の同じ時期より1.6%増えた。「ロシア連邦国家統計局」の公式データがこれを証明している。同時に、ロシア人の15%は、職を失っていたら、子どもとつくっていなかっただろうと回答している。
家庭の多くが直面している不況の問題とは、物価の上昇および収入の減少で、すでに順応したのだという。より重要な要因である失業に直面した人は少ないと、トィンディク室長は説明する。
「国民は経済の現状を危機の深刻な段階とは考えておらず、今ある条件に適応した」と、ロシアの投資会社「フリーダム・ファイナンス」ロシア株式市場運用管理責任者のゲオルギー・ヴァシチェンコ氏は説明する。また、国は住宅ローンの補助金を含む、高額な社会支援を止めていないという。
出生率が上昇している理由の一つとして、近年の住宅用不動産の竣成の増加を、専門家は指摘する。「実際の収入や全体的な経済状況とは関係なく、不動産の建設から2~3年遅れて出生率があがる」と、ロシアの大手証券会社「フィナム」の金融アナリスト、ティムール・ニグマトゥッリン氏は話す。ロシアでは、2013年に15.5%増の6940万平方メートル、2014年に14.9%増の8100万平方メートル建設された。これが出生率の維持にもつながったという。
第二子の出産も出生率の上昇に影響をおよぼしていると、トィンディク室長。長く続いた1990年代の負の影響が収まり、回復に向かう流れが2000年代半ばに始まった。「第二子を産んでいる女性の平均年齢は30~35歳で、この世代は人口が多い」とトィンディク室長は説明する。現代の女性は平均して、1990年代および2000年代初めに若い時期を迎えた女性よりも、多くの子どもを産んでいるという。
ロシア連邦国家統計局のデータによると、女性1人あたりが出産する子どもの平均人数を反映した出生率は、2015年に1.77人まで増えた。2016年上半期は約1.83人になったと、マクシム・トピリン連邦労働・社会保護相は話した。
ロシアで出生率が最も下がったのは、現代ロシア史最悪の金融危機が起こった後の1999年で、1.157人であった。
現在の出生率でも国の発展には不十分だと、専門家は考える。「人口の単純再生産には、女性1人あたり少なくとも2.2人の子どもが必要。1.83人では十分な経済力を確保できない」と、ロシアの証券会社「オトクルィチエ・ブロケル」最高経営責任者マクロ経済顧問のセルゲイ・ヘスタノフ氏は話す。そのため、現在、ロシアの人口増を支えているのは、主に移民の流入なのだという。「2人以下は人口再生産を狭める。自然な人口増加は、可処分所得の実質ベースの増加よりも遅く始まる。タイムラグを入れると、2020年以降になる可能性がある。
2016年上半期、ロシアの人口は3万2200人の自然減であったが、これは昨年の同じ時期と比べると2分の1の減少幅である。
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