9268便墜落はテロかエンジンか

ロイター通信撮影
​ ロシア「コガリムアビア航空」のエアバスA321型旅客機(9268便)の墜落原因として、2説が取りざたされている。国際事故調査委員会の消息筋が、エンジン内で爆発が起こった可能性を指摘している一方で、事故調査に参加していないイギリスおよびアメリカは、爆弾によるテロの可能性が高いとの見方を示している。

 9268便がエジプト東部のシナイ半島で墜落してほぼ1週間が過ぎた。客室内で爆弾テロがあったか、エンジン内で爆発があった可能性がある。この2説が、海外の政治家やマスコミの間では支配的になっている。

 国際事故調査委員会と技術委員会は、まだ調査の結論を出しておらず、またいかなる仮説も公式に発表していないが、イギリス政府は機内でテロが行われた可能性があるとの公式な見解を発表した。アメリカのバラク・オバマ大統領も5日、爆弾が機内にあった可能性を指摘し、「深刻に受け止めている」と述べた。

 ロシア政府は事故原因の発表を事故調の職権であるとし、それ以外の結論付けを「画策」だと言っている。「事故調からのいかなる発表も聞いていない。それ以外のあらゆる仮説は、未確認情報または何らかの画策だと言っておこう」と、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は先に、記者団に述べていた。それでも、「ロシア連邦航空運輸局」のアレクサンドル・ネラジコ長官は、犯罪学者の下部グループが、機内のテロの可能性も含めて分析していると話した。ロシアは今のところ、いかなる説も有力視していない。

 

機内に爆弾があった

 イギリスのフィリップ・ハモンド外相は5日、9268便の機内に爆弾が仕掛けられた可能性が「かなり高い」と述べた。「偵察情報を含めた」多くの情報にもとづいた見解である。イギリス政府は同時に、「予防的措置として」、エジプトのシャルムエルシェイク国際空港発イギリス行きの航空便の運航を全面停止した。アイルランドは、シャルムエルシェイク国際空港発着両便を停止した。

 アメリカの「CNN」テレビと「AP」通信は先に、当局の消息筋の話として、「イスラム国(IS)」の戦闘員の会話をアメリカの情報機関が傍受したと伝えた。これらの情報によると、9268便は爆弾テロによって墜落した可能性があるという。アメリカの「CBS」テレビは、アメリカの人工衛星が事故の瞬間に熱放射を観測していたと伝えたが、これについての同国政府の公式なコメントは出ていない。この熱放射は爆弾の爆発、燃料タンクの爆発のどちらの可能性もあるという。

 

エンジンの爆発

 ロシアと共同で調査を行っているエジプトは、今のところ、爆弾の情報を否定している。「事故調査グループには、その仮説を裏付けるいかなるデータも証拠もまだない」と、ホッサム・カマル民間航空相は5日、述べた。エジプトの「アルマスリ・アルヨウム」紙は、事故調の関係筋の話として、エンジンで爆発が起こった可能性が高いと伝えた。事故調の関係筋は、9268便のフライトレコーダーのデータにもとづいて話しているという。

 「ロシア連邦運輸省」は、ブラックボックスから最初のデータを取得したことを認めた。また、ロシアの「インテルファクス」通信は、ブラックボックスの解析が行われているエジプトの首都カイロの情報筋から、事故が発生する瞬間まで、乗員はいかなる技術的な不具合にも気づいていなかったことを聞いた。会話の記録から、「レーダーから機影が消える4分前まで、機内の状況は正常で、乗員は管制官と普通の会話をしていた」ことが明らかになった。ただし、情報筋によると、「レーダーから機影が消える前に、通常の飛行では響かない音が記録されている」という。

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