EPA撮影
ロシア連邦国家統計局の公式データによると、今年第1四半期の死亡率は、昨年の同じ時期と比べて5.2%増加。増加は2月に見られ、3月まで続いた。
死亡者数が増えた理由とは
第1四半期の総死亡者数は50万7000人で、昨年の同じ時期と比べて2万3500人増えた。死亡率がもっとも増加したのは呼吸器系疾患(22%)。第2位は消化器系疾患(10%)、第3位は感染症(6.5%)、第4位は循環器系疾患(5%)。一方で、子どもの死亡率や、殺人または自殺などの外部要因による死亡率は減少した。この傾向は全国で見られる。
3ヶ月の統計にもとづいて理論を構築することを、専門家は警戒する。数字は年間を通じて平衡化する可能性があるし、評価を行うための詳細が不足しているのがその理由。
ロシア経済・国家行政アカデミーのアーラ・トィンジク主任研究員はこう話す。「今はどのようなカテゴリーに属するロシア人の死亡率が増加しているかわからないため、何に関連して増加が起こったのかを推測するのは難しい。負の統計情報を経済危機や医療制度改革に関連づけることは、現時点では正しくない」。死亡の原因を経済危機と判断するには、都市部の男性労働人口の死亡率の急増を統計が示すことが必要だという。「前回の1990年代の危機では、そのような死亡率が圧倒的に多かった。経済危機の影響が現れる可能性は高いが、それほどすぐではない。薬の価格の高騰や医療サービスの悪化が継続すれば、数字は高齢者の間で増加する。他の説明もある。寿命がのびていて、以前は70歳で死亡していたが、80歳前まで生き、死亡するのが今になっているということだ」
寿命の説明に同意するのは、ロシア国立研究大学「高等経済学院」人口統計学研究所のセルゲイ・ザハロフ副所長。「ここ数年、死亡率が最大の年齢(70~75歳)の人は、人口がもっとも少なかった1940年代生まれの人だった。近い将来、それがより人口の多い1950年代の人へとかわる。寿命がのびていても、これは死亡者数の増加につながる」とザハロフ副所長。
平均寿命は急速にのびているが
人口統計学研究センターのエヴゲニー・アンドレーエフ主任研究員によると、ロシア人の平均寿命は2004年以降、急速にのびているという。「寿命はこの間、6年のびた。これは先進国の2倍のスピード。しかしながら同時に、ロシアは現在、先進国が50年前に通過した水準にある」。アンドレーエフ主任研究員はこのような変化の理由として、アルコールの摂取量が減り、血圧の管理を始め、心臓手術の件数が増えたことをあげる。
ただ、循環器系疾患による死亡件数があまりも減少しすぎており、このような診断が行われるのは、他の理由を見つけることのできない時に限られるようになったのではないかと、アンドレーエフ主任研究員は話す。
「高齢者が亡くなる時は、たくさんの理由があるが、循環器系とは無関係な理由を選ぶのではないか。現在、これらの要因による死亡率を減少させるよう、政府が設定した医療関係者向けの目標がある。医学的措置および予防措置でこのような急速な変化を起こすことは無理」。こうアンドレーエフ主任研究員は推測する。
昨年と今年増加したのは、急性呼吸器疾患、インフルエンザ、肺炎などの呼吸器疾患による死亡率だ。「インフルエンザの流行が影響したと思われる根拠がある。がんによる死亡率が増加しているからだ。というのも、インフルエンザの死亡率は珍しいほど安定しており、ロシアでは医療措置によってはあまり左右されない。その一方で、インフルエンザや急性呼吸器疾患は、他の病気によって弱った体に死をもたらす」とアンドレーエフ主任研究員。
ロシアの特徴とは、外部要因(交通事故、事故、殺人、自殺など)による死亡率の高さだと、トィンジク主任研究員は説明する。ここが現在、死亡率減少の鍵を握っているのだという。
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