外国人留学生のバイト簡易化を

アレクセイ・デニチェフ撮影/ロシア通信

アレクセイ・デニチェフ撮影/ロシア通信

外国人留学生は労働許可証の手続きをせずとも、ロシアでアルバイトができるようになるかもしれない。このような法案が、ロシア下院(国家会議)に提出された。グルジア、モルドバ、セルビア出身の元留学生が、ロシアで留学中にアルバイトをしようとした時、どのような困難に直面したのかを、ロシアNOWに語った。

 9日に提出された連邦法「ロシア連邦の外国人の法的地位について」の改正案によると、外国人留学生は学業以外の自由な時間に限り、労働許可証の手続きをせずにアルバイトができるようになる。対象となるのは、ロシアの大学にフルタイムで留学し、学生寮に住んでいる学生。法案が承認された場合、外国人を雇う際には、一時登録だけで済むようになる。アルバイトが可能な期間は、外国人が留学を終了するまで。さらに、該当する留学生には、ロシア政府の定員枠を超えた、ロシアの一時滞在許可証が発行される可能性もある。

 

物理学とジャーナリズム

 労働許可証を取得するには、すべての役所の手続きを通過することが必要で、難しく、却下される場合もある。

 グルジア出身のゲオルギー先生は、留学していた時に、物理学の家庭教師のアルバイトをしていた。「正式な就労権があったらそれなりに嬉しかっただろうけど、非公式でも家庭教師をできてたから、労働許可証は必要なかった」

 モルドバ出身のアレクサンドラさんは、ジャーナリストとしてアルバイトをしようとした時に、困難に直面した。「大学に留学していた時、労働許可証の取得が必要になった。ロシアでは学生として登録していたから、必要書類には学部長の許可証も含まれていた。学部長は原則として、そのような許可を出していなかったから、回避策を探さなければいけなくなった」

 アレクサンドラさんは自身の経験から、労働許可証を持っていない外国人留学生を企業が採用することは通常はないと考える。「理論的には、学生と非正規雇用契約を結び、その学生のサービスを利用することができる。けれど、企業にはそのための確立された書類作成システムがないか、あるいは面倒なために、ロシア人を雇用しようとする」

 雇用主が採用試験の最終段階でアレクサンドラさんを労働許可証のないモルドバ人だと知り、不採用にしたケースも、何度かあったという。「でも、ある会社にとても気に入られて、私の代わりに社員の奥さんを被雇用者として手続きし、給与をその人の口座から私の口座に送金してもらった」とアレクサンドラさんは話す。

 

外国人を雇用するのは大変

 セルビア出身のヴカシュさんの場合はもっと大変だ。「ベラルーシまたはカザフスタンからの留学生じゃないと、職探しには大きな問題がつきまとう。経験の浅い外国人留学生は、たとえ一流大学の学生であったとしても、せいぜいインターンシップぐらいしか期待できない」

 モスクワのとある人材あっせん会社で最初の無休のインターンシップを経験し、ロシアで就職をすることは無理だとさとったという。次のインターンシップ先は、大手民間企業の投資部門。そこでやはり希望は消えた。「それ以上、つまりビザや許可証つきの完全な就労手続きを望むのは無理だということがわかった。雇用者の話だと、雇用する側の希望にかかわらず、ロシアの法律は私を残すことを許可していないということだった。私の職種に当てはまるロシア人は非常に多いだろうし、外国人を雇うには『強い根拠』が必要」

 ヴカシュさんは大学卒業にともない、フルタイムの仕事を探したが、数ヶ月活動しても、まったく見つからなかったため、母国に帰国することを決めた。

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 「たとえ外国人が才能豊かな働き手だったとしても、ロシアで官僚主義の”地獄の九圏”を進もうとする雇用主はゼロ。ロシア政府は、”頭脳の流出先”であるヨーロッパやアメリカみたいに、才能ある若き専門家を外国から受け入れるべき。労働許可証を持っていない外国人留学生の雇用は、正しい方向への第一歩となるはず」とヴカシュさん。

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