ミハイル・モルダーソフ撮影
「生活を脅かす異常事態」の結果、ロシアに入国したウクライナ市民のための、「難民」認定手続き簡略化法案が、ロシア連邦下院(国家会議)に提出された。
法案によると、「簡略化された特別なウクライナ難民認定手続きを定められる権利を移民局に与える、措置パッケージを速やかに採用する」必要があるという。
就職と医療
ロシア連邦労働省はロシアNOWの取材に対し、すべてのウクライナ難民キャンプに就職相談窓口を設置したと話した。「ウクライナから避難し、就職の支援を必要としている人のうち、3万6000人が71の自治体の雇用局に登録している。そのうち1万8000人に常時就職の用意がある」と労働省。
雇用局は現時点で、2500人を就職させており、うち1000人強が常時就職だという。求人が多いのは建築関係だという。
難民が急増している状況を受けて、ロシア政府は一時滞在外国人の受け入れ割り当てを増やし、多くの難民が滞在許可証を受け取れるようにした。
ロシア連邦保健省によると、難民の医療費として、1億ルーブル(約3億円)ほどが追加的に必要だという。「すべての難民に完全な診療を行っている。感染症にかかっていた件数は566件。うち108件がヒト免疫不全ウイルス、77件が結核。はしかと風疹の予防接種を受けたのは1万9000人」
自分の目で確認
ロシアNOWのアンナ・デグチャレンコ記者は、ウクライナ難民が暮らす、モスクワ市南部の寮を訪れた。現在ここに滞在しているのは58人。
寮は20世紀初めに建てられた2階建ての住宅。見ると満杯なのがわかる。入口、廊下、階段にはたくさんの大人と子供がいる。
当直の若い男性は、難民には何よりも食べ物と服が必要だと話す。難民には階の半分、キッチン、シャワー室が割り当てられ、洗濯機も注文済みだという。寮の部屋は明るく、清潔だが、二段ベッドが置かれているため、余分なスペースはあまりない。
キッチンは集会所のようになっていて、難民は自分の話や今後の話を共有している。身の毛もよだつような話がしばしば出てくる。それでも、難民は落胆しきっているという感じではない。生活の変化に大きな不安を感じながらも、明日を信じている。自分の家が今どうなっているのか、誰も知らない。でも戻ろうとは考えない。軍の乱暴に関する噂、止まない銃弾や爆弾の思い出が強烈すぎるのだ。モスクワに今後の展望を見いだしている。
いかなる正式な登録もまだなされてはいないが、仕事を見つけ、自分の生活をここで続ける話をしながら、残る心構えを示している。すでにアルバイトを見つけている人や、将来的な採用の話をとりつけている人もいる。
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