現代ロシアのザ・カンニング

実際、検索サイト「ヤンデックス」で少し検索しただけでも、透明インクのペンやミニ・ブルートゥースから、時計のようにベルトで装着できる画像保存機能付きのアイポッド・プレーヤーや、普通の机をダイナミックスピーカーに変え、耳を机につけることで解答を聞けるようにする振動スピーカーまで、ハイテク・ カンニングの手段が山のように表示される。=タス通信撮影

実際、検索サイト「ヤンデックス」で少し検索しただけでも、透明インクのペンやミニ・ブルートゥースから、時計のようにベルトで装着できる画像保存機能付きのアイポッド・プレーヤーや、普通の机をダイナミックスピーカーに変え、耳を机につけることで解答を聞けるようにする振動スピーカーまで、ハイテク・ カンニングの手段が山のように表示される。=タス通信撮影

ロシア連邦教育・科学分野監督庁は、卒業試験のカンニングを監視するため、ロシア最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「フコンタクチェ」の協力を取りつけた。今年の試験では、学校の生徒が問題の解き方を連絡し合っていた、約2000のグループが閉鎖されていたことが明らかとなった。 現代ロシアのカンニングの状況を、ロシアNOWが調べた。

カンニング防止でフコンタクチェと連携

 ロシア統一国家試験を担当している教育・科学分野監督庁は10月7日、フコンタクチェと連携することを、同庁のウェブサイトで伝えた。フコンタクチェの関係者は、統一国家試験の問題と解答をSNSにアップロードする行為を、来年から妨害していくことを約束。監督庁とフコンタクチェの関係者からなる作業グループもつくられるという。

 今年の統一国家試験では、さまざまなSNSに問題と解答を掲載した、約2000のグループがブロックされた。そのグループの大半が、ロシアの若者の間でもっとも人気の高い、フコンタクチェのグループだった。今年の対策では、監督庁が試験期間中に、カンニング・グループのリンクをフコンタクチェに送り、フコンタクチェがそれをブロックしていた。

 

試験問題と解答が数日前に流出 

 だが統一国家試験の問題の解き方は、最初の国語の試験が行われる数日前から流出していたし、一つのグループにつき十の新たなグループが派生していた。フコンタクチェが違法コンテンツを、損害を受けた側からの要求で削除するシステムは、海賊版動画対策においてうまく機能していない。

 しかしながら、カンニングの問題を解決するのは現実的に可能だ。現代の技術は、ユーザーがアップロードする段階でコンテンツをふるいわけできる。

 例えば動画 サイト「ユーチューブ」はすでに何年も、コンテンツIDという技術を使って、ユーザーが海賊版の動画をアップロードできないようにしている。動画の名称を変えても、動画をトリミングしても、ユーザーは掲載できない。似たようなソリューションを、統一国家試験問題の流出にも適用できる。例えば特定のキーワードの検索で結果を表示しない、または特定のタグを含むグループをつくれないようにするなどだ。具体的に監督庁とフコンタクチェがどのような革新技術を使うかは、現時点でわかっていない。

 

国語と数学の解答は約 21万円なり 

 監督庁のさまざまな提案の中には、技術的に興味深いものもある。統一国家試験の異なる10種類の情報転送システムを一つの閉鎖されたネットワークに統合する、また誰がいつ書類を受け取り、編集し、誰に転送したかを監視する特別プログラムを用意するなど。この対策は、ロシア連邦教育・科学省の下部組織である、監督庁自体からの流出を警戒したものだ。

 試験の解答を購入できたという話は、学校の生徒自身がしている。あるモスクワの学校の生徒によると、統一国家試験の国語と数学の解答は7万ルーブル(約 21万円)だったため、一人2000ルーブル(約6000円)に割り勘できるまで人数を増やしたという。生徒らは統一国家試験のすべての解答案を、試験問題の作成に関与した自分の先生から直接受け取った、または先生を通じて役人から受け取ったりしていたようだ。

 

仰天カンニング・グッズの数々 

 送られた国語の試験問題は本物の試験問題と完全に一致し、ある数学の試験の問題はさまざまな問題案の組み合わせだったことが判明した。さて、このような 事前情報を得た後は、各自やり方が異なる。難しい問題の解答を丸暗記した生徒もいれば、カンニングペーパーをつくった生徒もいた。

 また”職人技”を見せた生徒もいた。モスクワ州のある学校の先生・試験監督によると、「カンニングをしているという確信があった」ものの、その現場を押さえることができなかったという。「何らかの最新技術を使っているようだ」と推測している。

 実際、検索サイト「ヤンデックス」で少し検索しただけでも、透明インクのペンやミニ・ブルートゥースから、時計のようにベルトで装着できる画像保存機能付きのアイポッド・プレーヤーや、普通の机をダイナミックスピーカーに変え、耳を机につけることで解答を聞けるようにする振動スピーカーまで、ハイテク・ カンニングの手段が山のように表示される。

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学校の近代化

 フコンタクチェでも現在、「試験に合格することが問題ではなくなる特別な時計」をうたい文句にした、「エスコウォッチ」という製品の宣伝が行われている。一般的なUSBを使って、記録時計に解答をダウンロードできる。

 

トイレ個室の快適空間 

 しかしながら実際には、平凡な手段が使われることが多い。今でも生徒の”最強の味方”は従来型のカンニングペーパーで、それがスマートフォンに変えられただけだ。

 携帯端末については、すでに教育施設に妨害電波発生装置が設置されているものの、トイレには妨害の影響が及ばない。トイレの個室は、”カンニングペーパー”を見たり、友だちに助けを求めたりできる、もっとも快適で人気の空間だ。

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